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日曜大工を子供たちと

さて、朝食を済ませ、俺はさっそく子供たちのために洗濯機を作ることにする。洗濯機っていうより脱水機か。


「それじゃあまず基本となる桶だな」


できるだけ大きいのがいいがそれだと子供が使うには重すぎるかもしれない。魔導金属を使っても良いがそれだと今度は子供たちの手の届かないものになってしまう。


「歯車を増やすか、それとも・・・」


うーむ、こうなると俺一人では難しいか。専門知識が必要だ。そもそも歯車を綺麗につくる自信がないな。

とりあえず紙にアイデアを書き起こしていこう。


「水をかき混ぜる部分とそれを動かす歯車とハンドル、それに桶。脱水機には桶と篭、篭を回転させるパーツとハンドルって感じか」

「おー、やっとりますな」


算数の授業を終えてやってきたらしいエルビン老が設計に参加してくれた。エルビン老は意外と図形に関する知識があるのか歯車を書くためにまずコンパスらしきものを持ってきてくれた。


「これで、ハグルマとやらを書くのですな?」

「そうだ、それを型紙にしてパーツを作ろう」


木を綺麗に切り出せるかは分からないが歯車がキレイに作れれば機械の品質にも関わってくる。手抜きはできないな。しかしこういうのは愉しいものだ。


「しかしまあこんなアイデアがよくよく思いつくものですな」

「まあな、とりあえずは大体の設計はこれでいいだろう」


紙には簡単な仕掛けで動く手製のカラクリ図面が出来あがった。うーん、こういうのに感動を覚える辺り俺もまだまだ男の子だぜ。なんで思いつくとかそういうのは軽く流しとくことにして・・・だ。


「今度は材料か、木材は・・・」

「試行錯誤が当たり前の発明・・・、最初は安価な廃品などを使ってミニチュアから始められるべきでしょうな」

「よし、なら子供たちに遊びと称してやらせてみるか」

「へ?」

「子供たちの中には手先の器用な子もいるだろう?それに勉強が好きな奴ばかりいるとも思えんし」


ちなみに俺は大嫌いだ。体を動かすのが好きだった。偏っては意味がないが何も将来だれしもが学者や商人になるわけではない。せっかく各地で教育の熱が起こっているのだ。子供の遊びに想像力を持たせるのは良い事だろう。


「それは・・・確かにそうですが」

「親がいる子は家の手伝いがあるから限界があるだろうが、孤児院の子供たちは暇な子も多いだろう。それに勉強を教えるのに老とテルミット、ヒューイにたまに来る俺だけでは限界がある」


現状把握しきれていない子供たちの人数、ざっとでももう50人以上はいるんじゃ・・・。最近は支部なんかもつくろうかってんで市井に溶け込んだエルフ達によって地道な活動が始まっている。


「お陰で稼ぐ金のほとんどが消えてるんだよなー・・・」

「ほっほっほ、投資と考えればなにも悪い事ばかりではありますまい」


貿易で稼ぐ金が消えていくのだから教育という奴は・・・。だがこうしとかないとリットリオも傾く、そうなればまた隣国たる扶桑の脅威と面倒が増える。隣人さんとは仲良くしていきたい。


「打算でやり始めたわけじゃないがな・・・」

「なにか?」

「いや、なんでも・・・とりあえずは歯車の切り出しからやらせるか」


刃物だとケガをするかもしれないがケガをするのも立派な勉強だ。痛い思いをして覚える事もあるだろう。

もちろん、やっていい事と悪い事の区別はきっちりつけさせるが。


「というわけで!今日の遊びは歯車を作る遊びです!」

「「「「わーい!」」」」


子供たちを募って俺は木材をしこたま買い込んだ。それに俺が型紙に書かれた歯車の形を書き込んでいく。

そして子供たちのそれを切り出して作らせる。そしてその歯車を利用して脱水機を作るという事だ。

余った時は彼らが好きなおもちゃなんかを作る材料にしよう。


「なにをしたらいいの?」

「この板を書いてある通りの形に切り出すんだ、失敗しても板はたくさんあるから好きなだけ作ってくれ」

「はーい!」


子供たちは皆がそれぞれの道具を取って板を削りだしていく。おうおう、楽しそういやってくれて何よりだ。

この子達の中に何人がその創造性を羽ばたかせてくれるだろうか。歯車が噛み合い、動き出すときに生み出すものに。仕組みや機構と言ったものにどれだけの感動を覚えてくれるだろう。


「さて、たくさん作れた奴にはご褒美を用意するからケガに気をつけてたくさん作れよー」


そう言って俺も作り始める。さて、動力部に使う歯車なんかはこれでいくらでも使えるとして・・・。


「あれ、兄ちゃんじゃん・・・ターニャみたいな事してなにしてんだよ」

「お、リックスか、しばらく見ない内にしっかりしてきたか?」


久しぶりに会った気がするな。向こうのスラム街以来か?


「ちょいとカラクリを作ろうと思ってな、生活に役立つカラクリだ」

「マジか、俺もやっていい?」

「ああ、用事を済ませたら好きに参加しろ」


この年の子供はまだまだ遊びに貪欲だ。それが将来どれだけ役に立つかもわからないだろうが今はそれでいい。

大人になってから、それでいいんだ。

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