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払暁に少女達は微笑む。

資産を溶解させ、ボスを消し炭に変えてみたものの。

囚われのお姫様がたくさん居ることがわかっては放っておけないのが人情というもの。

ましてや前途ある若者、可哀想じゃねえか。


「さてさて、若者には大志を抱くか家庭を築いてもらわんとイカンしね。」


屋敷を当て所もなく探していくと時折手下と出くわしては軽くボコっていく。

強すぎるのも考え物だ、弱いものイジメは嫌いなんだがね。


「ったく、結局定番の地下室がゴールか・・・。」


結局屋敷から手下を全員叩き出す羽目になっちまった。


「ふわぁ~、おーい。」


薄暗い地下室をえっちらおっちら降りていくとかび臭さに混じって嫌な臭いが漂ってくる。


「趣味悪いな。」


地下は牢屋がひしめいていたが、その牢屋も途中から増設したらしく数が多い。

牢屋の中の女の子達は皆一様に色白く痩せている。

そして首に填められた枷と隷属の呪文。


「サマル式の呪文か・・・ったく故郷の嫌な一面を見ちまったぜ。嫌だねまったく。」


他国の呪文、こと隷属などの刑罰にも使用される呪文は国に認定された魔術師以外は使用を許可されていない。

しかも他国の呪文ともなればさらに罰則が厳しくなる。外交にも響くからだ。


「お嬢ちゃんがた、助けに来たぜ。」


「おじさんだれ?」


「おじさんはひどいぜ、お兄さんと呼びなよ。」


牢屋ごしに話しかけると捕まって日の浅いらしい少女が此方に話しかけてきた。

肌もまだ綺麗で健康的なイメージを受ける。


「さて、君の名前は?」


「リリア、おじ・・・お兄さんは?」


「白馬の王子様さ、生憎白馬は風邪気味でね。」


牢屋の扉を引っこ抜いて中に入ると俺は手始めにリリアの呪文に手を触れる。


「こんなタトゥーは君には似合わんな。」


忌々しい呪文に魔力を流す。 すると呪文は瞬く間に消え、代わりに翼の紋様が浮かぶ。これはドラゴンの翼の紋様らしい。効能は体力の強化で体が頑丈になる呪文だ。


「えっ? 呪文が?!」


「あとはこのダサいアクセサリーの処理だ。」


隷属の首枷は本来鍵ナシでは外せないシロモノだがこれも俺の力を持ってすれば容易い。


人間の魔道具は総じて人間以外の魔力に弱い。

外部に叩きつけるのは別だが流し込むと話は簡単に変わる。

電化製品のように種類の違う魔力を流せば簡単に壊せるのだ。


この方法をとれば首枷のように変形するとヤバイ物も形を保ったまま穏便に破壊できるのだ。


「キャッ!・・・と、取れた!」


バキン!といい音を立てて首枷は破壊された。

これで彼女は完全に自由になった。


例え売却済みでも呪文と枷がない以上商談を証明する方法はない。

証文も俺が燃やしてしまったしな。


「さて、お嬢さんがたに自由のバーゲンセールを開催するぞー。さあ並んだ並んだ。」


先ほどまで虚ろな目で俺とリリアを見ていたが俺が呪文と枷を壊せることを知って集まってくる。おうおう、皆可愛い子ばかりだ。

片端から呪文を書き換え、首枷を壊していくとお嬢さんたちを連れて外に出た。


外は静かなもんだ。

時々倒れた男達が目に映るがそんなものより素敵なものが顔を見せていた。


「夜明け・・・か、随分と掛かっちまった。」


大きなあくびをしながら夜明けの太陽に目を細めると俺の隣に少女達が並んで太陽を見つめていた。


その表情は牢屋の中に居た頃とは違う明るく、希望をもった表情で


美しく微笑んでいた。


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