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扶桑でのあれこれ

翌朝二人で謝り倒してようやく屋敷に入れてもらった。この世界でも土下座が通用する奇跡に感謝。


「うー、さむっ・・・毛布すらないのは流石に堪えるわい・・・いっきし!」

「汚ねえな・・・もう・・・いっきし!」


くしゃみをしながら親父と朝食を食べる。まだそんなに経ってないけど王宮からの使者の件も気になるしそろそろ戻るかな・・・。


「親父、そろそろ帰るわ」

「おう、わかった。また暇になったら帰って来いよ」


素っ気無い挨拶だったが俺は軽く挨拶を済ませると三人を連れて扶桑へと帰還した。人目を気にする必要はあるがやはり飛べるのは楽だ。航空機の開発も視野にいれようかな。


「ただいまーっと・・・なにこれ」


扶桑に帰還した俺の目に飛び込んできたのは石畳で舗装された道と巨大になった鍛冶場と紙の生産工場だった。鍛冶場は工場らしき建物が何件か建っており紙の工場に至っては一回り大きな建物になっている。更には自動車が平然と走っている。中世のヨーロッパが産業革命くらいになっている。


「ずいぶんと発展したな」


おそらく元からあった大量生産の為の基盤に大量の労働力が合わさった事で供給を満たす為に施設を拡充したのだろう。普通なら厳しいがコボルト達がフル稼働で建物を作ったのでその需要に耐えられるのだろうがいやはや恐ろしい建築スピードだ。平屋ばかりだった建物も二階建て、三階建てが多くなり一番大きかった俺の屋敷もこじんまりとしたものになっている。


「あっ!国王様だ!扶桑王国ばんざーい!」


一人が俺に気付くとすぐさま辺りから万歳コールが始まる。照れくさいから止めて欲しいがこれも頂点に立つ者の宿命か。手を振りながら屋敷に戻る。


「さて、これから王女殿下を迎えに行く算段をつけないとな」


部下に連絡をまわして現在の兵員をリストアップする。すると砲兵が四個連隊で砲を扱う者のみで換算して千二百名、輜重隊を含めて二千名といったところ。運用する砲は二百門と圧巻の数字だ。

次に歩兵が二個連隊、此方は黒狼隊が率いる連隊が一個連隊で三千名。次に志願兵で構成された半農の兵士達で構成された屯田兵と工兵千五百名ずつで構成されている。彼らの中には戦闘力では黒狼隊に譲るが農民故の体力と陣地構築を得意とする者達の集まりである。最後に装甲車や試験中の新型車を管理し戦地に彼らを届ける機械化歩兵部隊。直接の戦闘部隊ではないが輸送にも大きな力を発揮する部隊だ。人数は千名。

追いかけで軍学校に在籍する生徒は万単位で動いている為学校もパンク寸前だ。今では警察学校と平行して講師を呼び法と剣術を教えてなんとか誤魔化しているがザンナルとの法のすり合わせもやらないとな。

今は平時なので軍の士官から何名かを教官として徴用してようやくといった状態だ。

しかしその激務の甲斐あってザンナルでは治安は非常に良く、ドンドンと送られて来る警察隊によって都市の復興と共に順調に国土を併呑していっている。

農民も戦役からかなりの人数が犠牲になったらしく国民の大半を占めていたにもかかわらず逃亡した者も含めると犠牲者は十万人近くに上り残った農民も此方に協力してくれるのは五万人といったところだ。

残念ながら残りの農民は王族派だったので夜盗化し、警察隊に鎮圧されていっている。


「三分の一は此方の土地で、残った三分の二をアレクシアたちと管理する事になるかな」


メタメタになった農地と農地に適さない荒地を含めて復興が始まったばかりの瓦礫だらけの都市部。

あげます!っていって貰ったら俺なら切れたくなるが精々スケベ心出してついてきた人達に頑張ってもらおう。


「警察隊の人数が軍隊を超えてるってのもアレな話だが・・・まあいいか」


俺がいるフィゼラー大森林では争いごととは無縁だがザンナル跡地はいまや世紀末状態だからな。

軍隊レベルの武装と秩序を備えた警察隊が大量に居る事は息苦しいかもしれないがこれからも大切になってくるだろう。


「そのうちザンナルの跡地でも工業団地が作りたいし農地も拡大したいな・・・屯田兵もっと増やそうかな。エルフとダークエルフ達もどんどん増えていってもらいたいし」

「あの、そのことでお話が・・・」

「アウロラか、どうした?」


途中でテルミットがリットリオに帰ってしまったので扶桑のエルフ・ダークエルフの問題は全て彼女が統括する事になっている。俺の許可の下テルミットが扶桑における二種族の代表を名乗っているのだ。


「実は私達の中で子供が欲しいと言う者が多数いまして・・・」

「良いじゃないか、結婚を前提に付き合ってくれる者がこの国にも多数居るんじゃないのか?」

「いえ・・・彼女達は『夫』ではなく『子』が欲しいのです」

「なんだって?なんで子供限定なんだ?」

「エルフ達もそうですが我等は長命故に余程のことがなければ一人の男性と添い遂げられる者は居ません。ですのでその場合は後妻ならぬ後夫と一緒になるのですがその中でも前の夫に操を立てたいと言う者もおります」

「ふむふむ」

「ですが跡継ぎとして複数人の子供を成す必要があるのです。なのでどうしてもその・・・男性の子種が欲しいと」

「ごめん、ちょっと何言ってるかわかんないんだけど・・・夫はいらないけど子供が産みたいってこと?」


凄く言いにくそうだがアウロラは黙って頷いた。うぉぉぉ・・・どうしろっていうのさ。














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