表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
174/286

王都へ行こう。

それから数ヶ月は残務処理に忙しく走り回る事となり、その間に警察隊の組織は順調に拡大し途絶えていた交易も徐々に再開され始めた。しかしここで困ったことが起きた。


「これは何だ?・・・サマルの連中か」


手紙が何通か送られてきた。その内容というのが俺が手に入れたザンナル帝国の土地や資産に関する質問・・・もとい分け前の催促だ。


「ハゲタカめ、タダで乗れるほど儲け話は安くないぜ」


大体あいつ等何にもしてねえじゃん。おこぼれがもらえると思ったの?バカなの?俺が走り回って、俺が部下に指示だして、小麦買い集めて、兵隊指揮して、親父に頭下げて、皇帝陛下にもちょろっと話して、ザンナルの皇帝印とかもちゃーんと確保して事を綺麗に治めたってのに。ほとんど俺ひとりじゃねえのさ。欲しいなら手伝えよな。小麦の買占めくらいよ。

そもそも皇帝陛下に話通してあるのにほかの貴族がおこぼれ欲しいってバカじゃないのか。皇帝陛下がご遠慮なさる状況なのにな。


「邪魔くせえ、国王陛下にチクっとくか」


俺は領内で作られた紙で国王陛下に手紙を認めた。そこから一週間後、親父の領地経由で皇帝陛下からの書状が送られてきた。


「えーと、なになに・・・『親愛なる親友ガランドの息子よ。息災であったか?聞くまでもないことだろうが此度の戦役、誠に大儀であった。我が国に一片の被害を与える事無く一国を降した手腕誠に天晴れである。だがサマル王国の国王としてはキミをこのまま臣下として置くのは勿体無いと考える。その事に関しても今回の件に関しても話し合う事が山盛りだ。できれば早く来てくれると助かる。サマル王国国王 エディアルト・ディートリッヒ・サマル』・・・か途中から口調砕けてんぞ・・・誰も見たりしないだろうけど大丈夫かな」


サマル王国国王 エディアルト・ディートリッヒ・サマル。御歳67歳。孫のアレクシア王女と弟のフランツ王子にデレデレの孫バカである。しかしそんな国王もそろそろ御歳であるので皇太子のフリードリッヒ殿下にそろそろ家督を譲りたいとお考えのようだ。


「王宮か・・・あそこ苦手なんだよな・・・しかもフリードリッヒも居るんだろ」


フリードリッヒ・ザルツ・サマル。国王の一人息子にして跡継ぎを早々にもうけて悠々自適の次期国王。

社交界で知り合い、ガキの時分に構ってやったり嫁さんの相談に乗ってやったのが不味かったのかずいぶんと懐かれた。本人は恋愛結婚が出来たので無邪気に喜んで居やがったがそのぶんとんでもない目にあったもんだ。十年行方不明になった後でもアイツの中ではなんてことはなかったらしい。そう言うところはやはり血のなせる業か。剛毅なところもある。

ただちょっとホモの気があるから会いたくねえんだよな。カミさんが知ったら泣くぞ。


「まあ呼ばれたからには仕方ねえ・・・行くか・・・」


どうせだし国王陛下の許可も貰って正式に国をぶち上げちまおう。俺は王宮に参上する準備を整えるべく部下に仕事の引継ぎを行う事にした。


「旦那様、我等もお供してよろしかったのですか?」

「構わんよ、妻として自信を持て。もしお前達がバカにされたら俺はこの国から出てくよ」


上等な衣服を着せてアクセサリーは嫌いだからシンプルに調えさせた。代表として連れて行くつもりだったがテルミットの都合が付いたのでシロナを含めて三人を同行させることにした。


「さて、それじゃあ出発しよう」


妻が三人も揃うと圧巻だし化粧と服も相まって凄い可愛い。押し倒したい。けどできない。だって服が台無しになるんだって。こういうときの女性ってかなりシビアだよな。

王宮まではアダムスター領から馬車で結構かかる。自動車で行けば二日と掛からないが仕方ない。


「服は王都につくまで普段着でいいんじゃないかー?汚したら大変だろ?」

「理由はもっともですが欲望が透けて見えますよ。ご自重なさってください」


ぴしゃりといわれるがテルミット、耳が赤いぞ。可愛い奴め。


「まあ、私はいつでもOKですから宿ついたら可愛がってくださいね」


シロナはノリノリで大変よろしい。シロナはそっちの体力がなさ過ぎるのが欠点だがその分積極的で大変嬉しい。


「出発前に結構したと思ってたんですけど・・・」

「綺麗な姿を見たらいくらでもいけるぞ」


アウロラは呆れた様子でため息を吐いた。彼女が一番慣れちゃってておじさん悲しいよ。尻に敷かれるまで秒読みが始まってる気がしてならない。ベッドの上では可愛いんだけども。


「しかし気が重い」

「何故です?やはり目上の立場だからですか?」

「まあ、それもあるが・・・その、居るだろ?王女が」

「はぁ、たしかアレクシア王女殿下ですね」


そう言うとシロナ達は何かを悟ったのか俺と同じ様にため息を吐いた。


「政略結婚ですか」


誰ともなくいう。そしてそれが俺の当面の悩みであった。国王も皇太子もアレクシアを俺に嫁がせようと内内に考えているのである。彼女の年齢は16歳。大人に差し掛かった彼女も結婚という言葉大層意識しているのだが・・・。


「難問だよ・・・」


俺には既に三人も奥さんが居るのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ