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ドワーフ達とサスペンション その3

翌朝、旅支度を終えた一行は自らが乗る馬車を自作するべく奮闘に奮闘を重ねる。新型サスペンションであるトーションバーサスペンションの為に日本にある技術でヴォルカンの頭に残っていたものをフル活用してさまざまなサスペンションが開発されていく。


「足回りの土台はフルで金属にするしかあるめえな」

「トーションバーって奴は画期的だぜ」

「俺としてはボギー式ってやつも悪くないんだがなぁ」


議論を重ねた末に馬車を数台製作し、それぞれにそれぞれが推すサスペンションや車輪を搭載した物を作る事に。そしてその後はその馬車を繋げて先頭の馬車で引っ張る事にする。

動力に関して皆が不審がっていたがコレには俺の集落の子供が偶然発見した魔導金属モーターがあるので問題ないのだ。


「よし、それじゃブンロク、これから動力の製作に取り掛かるぞ」


製作といっても炉の中に入れた鉄鉱石を俺のブレスで溶かし、それをモーターにするだけだがな。

歯車を幾つか作ってもらい、中心部分の歯車を魔導金属で作り、レバーで魔導金属の歯車に魔導金属製の金属を差し入れ操作をする形にする。


「機関全速!」


レバー操作をして『進』と書かれた場所に向かって倒すとウィーンと音を立てて歯車は連動し車輪は動力を得て動き始める。


「おーっ!」


ブンロクの作った主要パーツは見事に機能した。ブレーキもちゃんと機能したしこれでテストをパスすれば晴れて採用となる。


「それじゃあさっそく・・・試製一号発進!」


屋外にて運転席に乗り込んだ俺と冒険好きのドワーフの二人で試運転を開始。アクセルを入れるとゆっくりと、だが確実に動き出した。


「おー、これは・・・すごいなぁ!」


目盛りで『微速』と書かれたコーナーに差し掛かる。自転車の漕ぎ始めって感じのスピードだ。そこから徐々に早歩きを超え小走りくらいに加速する。


「ハンドリングは・・・うぐっ、ちょっと難しいぞ」


反応は悪くないが左右のレバーで両輪の速さを調整しハンドリングを制御するので結構辛い。これスピードを上げすぎたら間違いなく事故るな。


「ハンドルも採用してるから試してくれ!」


レバーに辟易していると隣からブンロクの声が聞こえてくる。足元を見ると収納状態のハンドルがある。ブンロクの指示に従ってハンドルを組み立てると最後にハンドルを取り付けて準備完了だ。

先ほどと同じように微速で進みつつハンドルを回転させようとしたが・・・。


「お・・・おもっ!重すぎるぞ!」


おそらく歯車を噛ませ、ハンドルで回転させる事によって操作しているのだろうが無茶苦茶重い。ドワーフと二人掛かりで回すが重さの分回すのに時間が掛かってしまい事故の確率が格段に上がってしまった。


「ダメだー!これじゃ疲れるだけだ!」

「いっそのことハンドル操作にもこのモーターつけたらいいんじゃねえのか?」

「パワーステアリングか・・・しかし構造なんて知らんしなぁ」

「いや、モーターの小型化は容易だからやろうと思えば出来るよ」

「んじゃそれ採用しよう、早速改良頼むぞ」


一旦停車してブレーキを掛け、俺達はパワーステアリングの開発に取り掛かる。とはいっても部品はドワーフが、設計はブンロクがやるので俺は飯の支度をすることくらいか。宿屋のおばちゃんを手伝っていろいろすることに。


「皮むき上手だねアンタ」

「慣れてるからな」


彼らが頑張る中俺はひたすら昼飯に使う野菜の皮むきに専念する。今日の昼飯は野菜と肉が沢山入ったスープにカーバンクルヤックルから取った乳を使ったシチュー。おばちゃんお手製のナンみたいな釜焼きパンとともに頂くスタミナ満点の料理である。魔法で火を起こすと薪が湿気てても燃えるのでありがたがられた。


「何処まで進んだ?そろそろ昼飯ができるぞ」


エプロン姿のまま作業場に戻るとブンロク達はパワーステアリングの部品の製造に取り掛かっていた。ホント仕事速いな。


「もうそんな時間か、一旦置いてメシ食おうか」

「アンタ意外とエプロン似合ってるな」


そう言うと皆は一旦作業を置いて宿の食堂へと向かう。


「あれこれ美味いな、いつものと味が違うぞ」

「この兄さんが作ってくれたからね、案外料理上手なんだねぇ」

「エプロン似合うのは伊達じゃないな」


なんか周りから意外と料理が上手いという評価を得た。まあ、シチューとナンが美味かったのでよしとする。


「さて、英気も養ったし仕上げちまうぞ」


シチューを平らげたドワーフ達とブンロクは完成したパワーステアリングを搭載し始める。パワーステアリングが簡単に作れてしまうのも一重に動力が要らないモーターが偶然出来たお陰だ。

しかし魔導金属は高価ながら無いワケではないはずなのになぜ今まで発見されなかったのだろうか?

車にはしなくてもこういうのが起こるという反応くらいは発見されそうなものだが・・・。

そんな俺の疑問を他所に試製一号は今度こそ完成し、試製一号乙型として採用。

後ろに荷馬車を連結させて今度は馬力の試験を開始することにした。


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