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出立!

後顧の憂いはなくなった。 マリエルは貞淑で侍女としては珍しく教養もある。

もしかすると一族の中に貴族の縁者がいたのではと思うこともあったくらい彼女は良く出来た人だったし夫になった男性も実直を絵に描いたような好漢だ。


容姿も問題ないし、父の前例を考えても無理な話ではない。


そしてなによりアダムスター家の新しい立場として他の家から嫁を貰うのが難しいということも二人の間を取り持つのに良い影響を与えるだろう。


二人の仲は両親とマリエルが取り持つということになり跡継ぎの選定もヴァルターを継がせるということにして必要な手続きを済ませた。



「さてと・・・俺は俺の使命を果たすとするか・・・。」


俺は手紙をしたため、両親に別れを告げる旨を書き記すと

一人旅支度を整えた。


「子供五人にそれに従う弟子かぁ・・・。」


はっきりいって結婚すらし損ねた孤独死老人にそんなことができるのか不安だ。

しかし、弟子を取ってその面倒を見るのであれば話は変わってくる。

難しいだろう、困難もあるだろう。 ましてやこの二カ国がいつまでも仲良くやっていけるかすらわからない。

だがせっかく第二の人生を得たのだ、フィンランドの英雄マンネルヘイムは戦乱の終結に伴って世界を旅する旅行家になったという。

俺もそれに倣ってみようと思った。


いざさらば、我が故郷よ。


屋敷をでてリットリオ公国の国境へと足を踏み出したところで二人の影が

俺を出迎えた。 ヴァルターとマルレーンだ。


「兄さん、また遠くへ行かれるのですか。」


「あぁ、留守は任せる。」


今生の別れのように切羽詰った言い方をするヴァルターに申し訳なく思いながらも苦笑せざるを得なかった。 しかしそれほど当てにしてくれているのだろう。


「マルレーン、お前ももういい年だ。鍛錬を重ねて必ず本懐を遂げろよ。」


「は、はい!」


二人にそう言うと俺は笑って頭を撫でてやる。 頭を撫でられながら二人は恥ずかしそうに笑ってくれる。 それだけで旅の餞として十分だ。


「何ヶ月かわからんがとりあえず目処がついたら手紙でも出すよ。」


それとついでに面白いもんでも見せてやるか。

力を篭めて意識を集中させる。 すると俺の体はみるみる変化していく。


「すごい・・・。」

「かっこいい!」


『それでは未来の領主よ、しばしの別れだ!』


俺は笑顔で手を振る二人に見送られて故郷を出発した。





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