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この異世界を攻略するっ!

「ここは天界といって、死後に次の世界を選ぶ場所なんだが……君にはその資格が不足しているみたいだね。どうにもならないから無に還るといい。それが嫌なら地獄のような苦しみを与え続けられる地底という世界に行くといい」


俺は目の前の紳士を殴っていた。


「ぶほっ、腹を殴るとは。昼飯のラーメンをリバースしたらどう責任をとってくれるんだ。資格がないから怒っているのかい?生きてる時の行いが悪かったのさ、諦めてくれ 」


ここで俺はもう一度、鳩尾をめがけて渾身の一撃を与えようとした。

それは手で止められてしまった。


「まあ聞けよ、コミュニケーションってわかる?相互理解って意味だぜ?」


一呼吸おいて。


「瀬高なぎさ、東京に生まれ東京で育った、18歳、性別女、卒業前に友人を庇って刺されて死亡。うん、ありがちな死に方だね。二次元ではよくある死に方だ」


息を飲んだ。


「実はね、君が庇った彼も死んだんだ。無駄死にさ」


体が震えて、血の気が引く。


「丁度いいところに、到着したね。彼はもう魂の損傷が激しくどの世界でも生き返ることが出来ないようなんだ。正しく言うと耐えられないっていうのかな。精神に重大なダメージを負うとこうなるらしい」


視線を逸らす。

その先には、彼の体があった。

意識はなく、横たわっている。


「君の体に罪の記憶が刻み込まれていてね、それがさっきの資格がないってことなんだけど。彼の体にはそれがないんだよね。今すぐ決断できるなら、彼の体に君の魂を入れて転生管理してるやつらを騙せるんだよ。どうだい?不自由になっても生き返ってみる気はあるかい?」




俺は……瀬高なぎさでも、そこにいる彼でもない。

俺は、誰なんだ?


「面白いことが好きでね、色々なことに挑戦したくなるんだ。転生をやめてみたり、特典をあげたり、殺してみたり。でもね、まだ魂と肉体を混ぜたことはないんだ」


話を聞く。


「君には記憶がない。それは魂と体を混ぜくった後遺症なんだけど、まあ転生したらどうでもいいよね?」


話を続けろ。


「うーん、遊び心がない。選択権はないってことさ。君、なにもわかってない。さっぱりだ、つまらん」


何も思い出せないから。

紡ぐ記憶が見つからない。


「凝った仕掛けのひとつやふたつ、特にないか。君には僕の言っていることがわかってないからお互いさまってことで」


指をくわえている。


「さあお待ちかね、転生タイムだ。攻略できればいいね。」

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