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異世界の蜜は苦い味

 重い身体を引きずって、辿り着いたのは森の中にぽつんと佇む洋館だった。

 何が何やらという状況の中、変な動物に追いかけられながら過ごした今日の昼の出来事は忘れられない。

 気付けば夜。梟の鳴き声が木霊する森で、まさか灯りがある場所があるなどとは想像だにしていなかった。

 ドアノッカーを叩いて、暫らく待つ。


「あらあら、こんな夜遅くに迷子?」


 扉は開かれていなかった。ならばどこから声がした。

 振り返ると、そこには女性が立っていた。

 先程まで自分を追いかけていた、謎の動物の死骸を持って。


「ああ、貴方を追いかけていたのね。まあ立ち話もなんだし入りなさいな。夜も更けてきたしね」




 洋館に入ると、まず大広間があった。壁には沢山の斧、銃、剣。

 客間らしき部屋に招かれ、飲み物を出された。

 ドロッとした液体で、匂いは甘い。


「それ、蜂蜜って言うんだけれどね。街の人は好んで飲まないから珍しいかしら」

「あの……」

「何?」


 ここまで言ったところで、何を言えばいいのかわからなくなってしまう。

 数秒間考えていたところで、女性が切り出した。


「今日はもうお休みなさい。疲れたでしょう」


 確かに疲れているが、そこが重要なのではない。

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