占い師
「ここにとても綺麗なガラス玉があるだろう?」
「はい」
そこには何の変哲もない硝子の球体が鎮座していた。
綺麗といえば綺麗かもしれないし、そこまで綺麗ではないかもしれないくらいに濁りが見えた。
よくよく見てみると細かい傷がついている。古いものなのだろう。
「これで占いをするんだ。貴女の未来を占い、先を知る。
占いによってもたらされる未来への知見はきっと役に立つ。
例えば……貴女は高校生だろう。未来を知れば人間関係でのもめごとを回避したり、テストで良い点を取れるかもしれない」
「それは未来が本当にわかるなら、そうでしょうけど」
「ボクの占いは本物だよ。そうだね、ならここで一つ占ってあげよう。貴女の学生鞄の中身を当てて見せよう」
未来が見えるなら凄く魅力的な提案ではあるのだが、鞄の中身を知る程度なら子供でも可能だろう。
学生の鞄に詰め込まれるものは教科書やノート、筆記用具くらいのものだ。
私はため息をついてから、それについて言及した。
「それは簡単すぎないかな、信じてほしいなら未来を教えてほしい」
占い師はとても強い眼差しをこちらに向けた。
ニヤリと、口を歪めた。
「いいだろう」




