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一緒に探してくれますか?
「暗い穴の底で、私は生まれたの」
歌うような声で、彼女は語る。
その目は遠くを見るような目。
そして忌々しいものを思い出しているかのような、目。
「ずっと一人ぼっちだったわ。でもね、貴方が助けてくれたのよ。貴方がいたから私は今生きているの」
彼女は縋る。
自分に自信がなく、他人に縋らなければ生きていけない。
そういう存在なのだ。
「だからね、貴方」
ぽつりと呟かれた。
「目を覚まして……!」
@H
その朝、違和感を感じて目を開いた。
「あっ……」
自室のベッド、そこに寝ていたはずだ。
だが目の前には妹の顔がある。
しかしどうしたことだろうか、まだ朝方なのに。
「まだ朝方だぞ?」
なんでそんなに顔が赤いんだ。
人の顔を見るなり赤面だなんて、俺はそんなにイケメンじゃないと思っていたんだが。
「いや、あのね」
「ああ、怖い夢でも見たんだな。ほれ、もっとこっちこい」




