表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/57

カーリデアの宴

「許せクオン! お前のことは忘れねぇからな!」

「あははっ、焦ってる焦ってる♪」

「クオン……すまん。死んでくれ」


 俺は今この瞬間、死ぬことが決定づけられた。

 それは誰にでも訪れる死という現象ではなく、もっと強度の高く簡単な死。

 遭遇すれば死ぬという存在……『死神』との邂逅だった。

 古来より伝承で語られるそれは、『夜に出歩いたら死神に会う』とか『死神と会って生き延びられるのは通常の魂では不可能』とか、理不尽なものなのだ。


 そして僕は今、死ぬ。

 『死神』を発見したまではいいものの、逃げる途中に躓いて転んだ。足を引っかけられたのだ。

 行ったパーティの3人は捨て台詞を吐いて逃げ出した。

 そして死神はこちらに気付いて追ってきていたようで、起き上がろうとすると眼前に居たのだ。


『A//////S』


 黒いローブで体をすっぽり覆っている、

 理解不能の言語だ。

 手に鎌。

 ああ、振り下ろされる。

 その鎌は魂を刈り取るという。


「あっ――」


 死んだ。



-----



「ええっと君、大丈夫? ねぇ?」

「ぅ……ん?」

「あー、目開いたよね。起きてるよな」


 眩しい。

 まるでそこら中にランプを灯したような明るさだ。

 寝たまま夜空を見上げると、月が一つ。


「そこのお方、月の数が足りんように見えるのだが」

「あ? 月は一つしかないだろ。あと俺の名前は竜司だ」


 確か、月は最低三つが反映されるはずだ。

 月が一つしかなく、見慣れぬ風景というここは。

 どこだ?


「すまん、ここはなんという場所だ?」

「なんだアンタ。酔ってたのか?

 ここは京都の片田舎……夜野辺街だよ」

「キョウト? ヨルノベ?」

「おいおい、やっぱ外国人じゃねーか。それにしては上手いな日本語が」


 これは完全に、死後の世界とかいうやつなのでは……?

 思考を巡らせている間に、目の前の男はすくっと立ち上がり手を差し出した。

 倒れたまま寝ていた俺は、手をとって引き上げてもらった。


「なんかワケアリみたいだし、警察行っても面倒になるだけだよなぁこれ。明日仕事あるし……ひとまず俺んち来い」

「僕もわからんことばかりで参っている。お言葉に甘えさせてもらおう」

「話がわかるやつじゃねぇか」


 気のいい男だ。

 そんなことを思いながら、後をついていった。



-----




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ