アレクサンドル三世のロボ あらすじ
彼女は埃を被っていた。
通気口がない地下室で、埃を被っていた。
酸素が薄いその場所に、一人のヲタクがいた。
彼はおもむろに手を伸ばすと、彼女の体をまさぐった。
しばらくすると、彼女から機械音が鳴った。
合成音声も、鳴った。
『ピピピ、ヲタク支援ロボ、製造ナンバー2503598795456553158。起動しました』
ヲタクは感動したかのように彼女の頬をなぜた。
つるつるとした、金属である。
しかし構わずにヲタクは彼女を触り続けた。
不意に、彼女の額が光った。
おでこの部分は液晶パネルが嵌め込まれていてこう書いてあった。
『充電中』
どうやらヲタクのこの行為が、充電であったようだ。
それを見たヲタクは必死にこすり続けた。
彼女の髪の毛を。熱心に、熱心に、擦り、こすり。
数日経ち、充電が完了した。
どうやら静電気で充電していたようだ。
彼女は微笑んだまま、笑顔でこう言った。
『眠ってたからって、気安くこの私に触れてんじゃねーよ! 貴族様だぞ!』
彼女の正体は、貴族アレクサンドル三世。
数百年前にこのロボに封印されていた、人間であったのだ。




