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プロローグ


いつも通りの空虚な日常


何も変わらない偽りの日々


先の見えない現実


僕は何の為に生きてるんだろう


この窮屈な世界では僕は息が苦しい


いっそ僕を終わらせてくれないか





◆◆◆◆



「お~い、翔。やっと来たか。ちんたらしてんなよ」


僕を呼んでいるのは野球部に所属していて4番のエースでイケメンの男、佐藤海斗(さとうかいと)だ。

まぁ、実際は僕が小学生の時に遊びで始めた野球を真似して今も続けた結果なんだけど…

今では自分が凄いんだと自慢してくる始末


「本当だよ。何時まで私達を待たせる気?」


このやたら声がデカイ女は伊藤美貴(いとうみき)

お金持ちのお嬢様って奴

僕の家が普通の中流家庭なのでよく馬鹿にしてくるんだよね


「遅い」


口数の少ないこの女は川島舞(かわしままい)

華族の一族の名家出身の正真正銘の本物のお嬢様だったりする

静かだけど僕に対しては毒舌だ


「またお前かよ。いつも俺等に迷惑かけて悪いって思わないのか?友達の少ないお前の為に俺たち幼馴染が世話やいてあげてるんだから地面に頭擦り付けてでも感謝しろよ」


喚いてるこの男は牛島搭夜(うしじまとうや)

これでも学年主席の生徒会長だったりする。

頭がいいのに言動は最悪



「悪い。進路をどうするかって担任がうるさくて中々返してくれなくてさ」


僕の名前は高橋翔(たかはししょう)

中流家庭の出身でまぁ所謂、こいつらから見たら落ちこぼれだそうだ。

成績は中の下、運動は中の上


こいつらから見たらこれでもゴミなんだとさ。

笑えてくるよな

僕が態と普通を演じているのに気づいてない事に…


それによく「貧乏人」とか言われるけど、実際僕個人の資産は数百億はあるんだけどね。

これも知らない、何でも表面だけを見て判断するこいつ等は本当に薄っぺらい


こいつ等が知っているのは小学生時代の僕

成績、スポーツ共に常にトップ

何でも出来る僕という存在

頼りになる幼馴染という立ち位置


僕は相手になる人がいなくなった途端に一気に熱が冷めた

今までやってきた全てを普通にした

全てが空虚、僕は一人、誰にも追いつかれない


本当につまらない


どれだけやってもどれだけやってもまた一人



「進路表だしてねぇーのかよ。本当お前は小学生までだよな」

と海斗


「だよね。何が神童だって。今更ながら笑えてくる」

と美貴


「退化」

と舞


「確かに舞の言う通りかもな。あの頃より退化してるだろ絶対。」

と搭夜



はぁ、何が面白いんだか



幼馴染の面白くもなんともない会話を横で聞いてるだけ

たまに振れるけどそれは僕をネタにした会話



ギギギギ


何か音が聞こえるけどなんだろう



ギギギギギギギギ


また聞こえる

今度はもう少し大きい



ギギギギギギギギギギギギギ バキッ


ふと上からの音だと気づいた僕

何かが近づいてくる


ん?よくみると看板かな?

あ、そうかこれは僕の願いが届いたのかな?


あ、完全に幼馴染共気づいてない…


それもそうか、この速度で気づけるなんて僕みたいな『イレギュラー』だけなんだな


本当に最後の最後まで一人だった




「ありがとうっ」






バーーーーーン



僕達、5人は看板に押しつぶされて死んだ。







◆◆◆◆



「っん?」


周りが白い、ここはどこだ?

さっき死んだ筈だよな

自分の服を見てみると赤い血がべっとり付いている

僕の周りにはまだ目を覚まさない幼馴染達がいる



それから大体僕の体内換算で3日は経っている


「イタっ。どこだここ」


海斗がやっと目を覚ました


「え?」

美貴が起き出して周りを見出した


「…」

舞は目覚めても無言


「っハ。あ、どこだここ。おい、みんなここはどこなんだ」

搭夜も起きました


何でこいつら一人が起きると1時間しない内に全員起きるんだよ





「やぁやぁ、おはよう。よく眠れたかな。若干1名は寝てもいないんだけど」


急にじいさんが出てきたぞ周りが光ってるぞ。

眩しいじいさんあなあ


「おい、クソ爺ここはどこだよ」


周りが見えていない搭夜が喚いた。

普通さ、相手の事も知りもしないでいきなり突っかかるか?

どう考えてもこのじいさんが説明するとかそんな展開なのに…


「答えろよ。爺、ぶっ飛ばすぞ」


あらまぁ、今度は海斗までキレだしたぞ


じいさんはニマニマして何も喋らない


むしろ、面白がってる


「おじいさん、私達を無視してるの?早く答えないとこの二人殴りにいっちゃうよ」


「…うん。ボコボコ希望」


なにこいつ等、話が進まないし

つまらん、じいさんに至っては僕まで見始めるし


「黙れ」



「「「「……」」」」



久しぶりの僕の怒気に場が静寂になった。

うん、小学生以来だな



「っおい!てめぇ、調子に乗ってんじゃねーぞ。お前に発言権はないんだよクズが」


逸早く戻った海斗が言ってきた


「まぁ、分かったから黙ろうね」


「てめぇわかってねーだろぉおおおおおおお。おりゃーー」


海斗が殴りかかってきた

おそっ…これがパンチかよ

別に避けてもいいけど、話を進めるにはここで一端受けてあいつ等を落ち着かせてばいいか

そう決意して


僕は御腹でそれをスレスレで受けて後ろに倒れるように盛大に飛んだ



「ざまぁ。雑魚が調子に乗るからそうなるんだよ」


「情けないよね~舞」


「興味ない」


「馬鹿だよな~運動神経抜群の海斗にお前みたいなゴミが勝てるかっつーの」


海斗、美貴、舞、搭夜がそれぞれ言った。



ギリギリで受けて大げさなに倒れてやったのに相手は実力だと錯覚している


僕は倒れたまま軽く、比喩はなく本当に軽く飛んで立った

服の汚れが付いてないのは分かってるけど敢えてハタキながらじいさんに話を促した


「よし…初めまして、僕の名前は高橋翔。16歳、もしよろしければあなたのお名前を伺ってもよろしいですか?」


じいさんの方を見ながら喋って見たけど反応するかな?


ん?またニマニマし出した


本当に何が楽しいんだろ



「くっくくくくく、はっははははは、ふっふふふふふ」


急にじいさんが笑い出した

だけど、こちらに興味を示しただけでも十分の成果だ


さぁ、どうでる?


「やぁ、すまない。こんなに笑ったのは数千年も前だったからか、歯止めがきかなくてね。初めまして、儂は神だ」


他の4人は口をあんぐりしていて理解できてないようだ



「神…だ…と?くっくく、面白い。その神様は僕達に用でもあるんですか?一介の人間に過ぎない僕達に存在自体あやふやだけれど全ての頂点の存在であるあなたが…」


「ぶはっははは。こんな面白い人間がいたのか。これは本当にいい結果だ。」


一旦、神様は口を閉ざし

すぐに開いた


「久しぶりに地上を覗いたら面白い存在がいるじゃないか。そこで儂はお主達の天命を見て見たら一人を除いて今日ではないか…。4人共、スポーツ万能で成績優秀でお金持ちの家系。お互い差異はあるけれど四人はこの世界ではトップのエリートだね。」


神様が4人の方を見て言ってるせいか4人共照れてる///


「だけど、この4人以外のもう一人、そこにいる翔君は明らかに違うよね」


今度は僕の方見やがったよ


「まぁ、こいつは落ちこぼれだから」


「そうそう」


「うん」


「ゴミだからね」



「いやぁ~翔君、君だけだよ、あの看板に気付いて直ぐに避ければ軽い擦り傷だけで死なずにすんだのに敢えて上を見てニコッて笑って死んだのは神の儂でさえも理解出来なかった。だけど、君の過去を覗いて分かったよ」


こっち向いてニマニマするのはやめてほしい



「え?今なんて?聞き間違えでなければ死んでるって…」


美貴がやっと今の状態に気付き始めた



「あ、言うの忘れてたね。君達5人は上から看板が落ちてきて死んだんだよ。そして、死んだ直後にこちらに送って一時的に回復をさせたんだよ。でも、君達はあっちでは既にニュースなって死んだ事になってるから。それと今、服に血が付いてるとか思ったでしょ?それはね、死んだ直後の肉体をコピーして魂ごとこちらに転移させたって事」



「「「「……」」」」


さすがの4人も絶句している


僕は最初から薄々気付いてからね




「さて、ここから本題に入らせてもらうね。君達5人には転生してもらおうかとね。君達の世界になかった魔法や常識やその他諸々が君達を待ち受けてる。そう君達の世界の用に感嘆にはトップエリートにはなれないよ。さぁ、決断した前。ここで人生を終えるか、また新たな生で生きるか、時間はたっぷりあるからね相談して決め手も良いよ」



僕を抜いた4人は早速相談をはじめた。


僕は今猛烈にニヤニヤしている



「翔君、こっちにおいで。1人だと暇でしょ。相手してあげるから」


神様は明らかに僕の真意を理解している

本当に面白い


一歩一歩近づいた


「……」


ヤバイ、話したい事あるのに声が出ない


「どうしたのかね?…あぁ、そうか。君は嬉しいんだね。君は1人だから、自分を満足できる存在がいる事に…だけど、儂では駄目だ。これから行く世界は君をより高みへ誘うだろう。だから、君はとことん出来なかった本気をだして見るのも一興かもよ」


「ほんき……だしても平気なの?誰も相手にならないとかはないの?」


「それは分からない。君は儂から見ても不思議な存在だ。この神である儂でさえそう思うからね。だから、儂は君に伝えるよ。対等の相手を見つけなさい。それは力ではない。君自身の半身、云わば伴侶だね。君の全てを受け入れて尚、対等に扱う存在。それを見つけた時、君はもう1人ではなくなるよ」



「………」


僕は神様の言葉の意味を今一理解できなかった。

それはその筈、僕は小学生時代に告白は数え切れないほどされた

だけど、何かが違う

そもそも恋とはなんだ?愛とはなんだ?

その先にあるのが伴侶だと言う事は分かるけれど…




考えている内に幼馴染達は相談が終わりこちらに近づいてきた



「神、俺たちは転生する事にした。こんな所で人生終わるのもつまんないしな」


他の3人も頷いている


「翔君も転生でいいのかな?」


「はい」


勢いつけて答えてしまった。

久しぶりだよ、こんなに楽しいのは



「それでは、転生するね。君たち5人は、ファーブル皇国の5家の公爵にそれぞれ転生させる事にするから、色々大変だよ。特典とかは追々分かると思うけど、明らかに違う事はないよ。それじゃあ、いってらっしゃ~い」


神様が杖を上に翳すと


僕達5人は光に包まれた







5人は転生した。




-END


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