遅れて重なる 第24話
第24話
風が弱い。
静かだ。
イリスが立つ。
ギアは横。
距離は近い。
「……さっきの第三者」
ギアが言う。
イリスは答えない。
一拍。
「見られてるな」
沈黙。
遠く。
何もない空間。
そこに、わずかな気配。
遅れない。
揺れない。
ただ、ある。
「……介入してこない」
ギアが言う。
イリスが短く返す。
「まだ」
一拍。
沈黙。
風が通る。
遅れて。
第三者は、待っている。
第25話
風が変わる。
冷たい。
空間が重い。
イリスが立つ。
ギアは横。
距離は近い。
揃ってはいない。
“それ”が現れる。
今までで一番濃い。
形が安定している。
揺れが少ない。
遅れが小さい。
「……順応してるな」
ギアが言う。
イリスが動く。
遅れて入る。
刃が通る。
だが浅い。
“それ”が崩れない。
逆に押し返す。
ギアが入る。
ズレを作る。
だが効かない。
「……使えないな」
ギアが言う。
沈黙。
イリスが一歩、前に出る。
深く入る。
“それ”が反応する。
遅れて。
空間が歪む。
イリスの動きが止まる。
一瞬。
ギアが踏み込む。
止めるために。
その瞬間。
“それ”が静止する。
揺れない。
遅れない。
完全に一致する。
沈黙。
ギアが低く言う。
「……お前に合わせてるな」
イリスは答えない。
だが、動かない。
その場に立つ。
空間が静かになる。
風も止まる。
完全な一致。
「……中心だな」
ギアが言う。
沈黙。
イリスが短く言う。
「ああ」
ここで、初めて。
ズレが消える。




