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「イリア姉ちゃん、今日商人が来るってじーちゃんが言ってた!一緒に行こうよ!」
「本当?楽しみ!じゃあそれまで練習頑張ってね、リト。」
「うん!」
食事を済ませ場所を移動したイリアとリト。イリアの目の前でリトは火を起こそうと頑張っている。両手を前に出して念じてみたり、変な呪文のようなものを呟いたりしている。
「ふふっ、子どもというか、弟みたい。私にも家族がいれば、こんな感じだったのかな…。」
─────ねーちゃんはこの村の出身じゃないの?
ふと、リトに言われたことを思い出す。
そうだ、私はなぜこの村に?この村が出身だと思ってたけど思い出そうにも思い出せない。ここは…本当に私の故郷?
「…ちゃん。イリア姉ちゃん!!」
「っ!!ごめん。リト…ボーッとしてた…。」
「イリア姉ちゃん、疲れてるの?」
「大丈夫だよ。ありがとう。」
リトはこの村で生まれ、両親もいる。どこにでもいる家族だ。
私は…どうしていないんだろう。お父さんとお母さん。
ふと、首元にあるペンダントを取り出す。
所々が錆びているロケットペンダント。一応開けることは出来る代物。左側には見たことない文字が書かれていて、右側には掠れてしまって殆ど見えない写真。多分家族写真だと思われるもの。
「この女性に抱かれている赤ん坊が…私なのかな…。」
村の人達が言うには、私がこの村に倒れていた時、最初から身に付けていたものらしい。それと衣服の中に入っていた、不思議な色合いの布に巻かれた木の欠片が数個だけ。
幼かったであろう当時の私の足は怪我でボロボロで身体は煤で汚れていたらしい。
「…てことは、私は火事で逃げてきてこの村に来たのかな…。」
「──そうなの?!イリア姉ちゃん!」
「うわっ!?リト!?びっくりした……いきなり入ってこないでってば……」
「だってさ、今日ずっと、なんか“むぅ…”って顔してたもん!イリアねーちゃん、そろそろ商人が来る頃だから見に行こうよ!練習はもういいや!」
そう言って先に走っていくリトの後ろ姿。早く早く!と遠くでリトが叫んでいる。
幼いながらもリトの元気さに少し救われてる気がする。
ふと、村の奥から風が吹いた。
夏の匂いに混じって、鉄と革のような、旅人の匂いがした。
「あ、来たかも!」
リトが耳を澄ますように顔を上げた。
遠くから、ガラガラと木の車輪を引く音。村の坂道を、何かが登ってくる音がする。
「本当だ、商人さんが来てくれたね。リト、先に行かないで待ってよ。」
「イリア姉ちゃんが遅いんだもん!早くー!!」
少年の体力は凄いな…




