表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/86

85

「ひどいよリオ、俺を置いて逃げただろう」

「ごめん、だって俺、あの人苦手だもん」

「俺だってそうだよ!しかもさ、大広間を覗いてたことがバレてた…。なんでた?目しかわからなかったじゃん!」

「優秀な騎士様は怖いね」

「全くだよ」


並んで身体を洗いながら、リオはアトラスの愚痴(ぐち)を聞いている。

夕餉の後に浴場に来たら、アトラスがいた。リオを見るなり飛びつき、ひたすら愚痴り続けている。服を脱ぎ身体を洗っている間もずっと。

アトラスによると、ビクターに捕まった後、説教をされたそうだ。

「初めて会った時から、おまえは何一つ成長していない。ここの規律が(ゆる)いのではないか。領主は怖い顔の割に威厳が足りぬのではないか。俺の所に来い。鍛えて直してやる」と。アトラスは「これから頑張ります。大丈夫です。お気遣い感謝します」と震えながら声を絞り出したと涙目で語った。

リオは「ふーん」と頷きながら、腹が立ってきた。

あの人さぁ、ギデオンの悪口言ってない?威厳が足りないだって?そんな訳あるか!ギデオンほど立派な騎士を見たことがない。領主としても立派だ。アトラスが頼りないのはアトラス本人の問題だ。ギデオンのことをよく知りもしないでひどいことを言って!今度会ったら文句を言ってやる!

リオが怒りに任せて腕をこすっていると、アトラスが顔を覗き込んできた。


「なあ、聞いてる?」

「聞いてるよ。アトラスも言い返しなよ。ギデオンは威厳あるし立派だから」

「そこは俺もカチンときたけどさ、あの人、ギデオン様とは違う怖さがあるんだよ。それに覗いてた理由を言わされて、すごく怖かった…斬られるかと思った…」


アトラスが、すずっと鼻をすする。泣いてるのか湯なのかわからないけど、両手で顔を拭っている。

いや、もっとしっかりしろよ!王城勤めとはいえ、同じ騎士なんだから!

そう言いたかったけど耐えた。

アトラスはすごく優しいのだ。だから強い態度がとれないのだ。たぶん。

リオは頭から湯をかけて泡を洗い流すと、湯船に向かう。

アトラスも急いで湯をかぶり、リオと一緒に湯船につかる。


「はあ…気持ちいい。ここの浴場は人が少なくていいよね」

「皆が使う所より狭いし、城の端にあるからな。俺はアンを連れて入ることがあるからここを使ってるけど、アトラスは広い方に行けばいいのに」

「俺も気兼ねなく入れる方がいいよ。ところでアンは?」

「腹がいっぱいになって寝てる。たくさん寝て大きくなってもらいたい」

「そうだね。心配しなくても、ある日突然すごく大きくなるよ。リオを背中に乗せれるくらいに」

「ふふっ、そうなったらいいな」

「あ、そうそう。それでさ、覗いてた理由を話した流れで、ビクター殿がなぜギデオン様のことが嫌いなのかを聞いたんだよ」

「なんだったの?」

「それがさ…」

「楽しそうだな」


いきなり頭上から声が降りてきて、リオとアトラスは同時に跳ねた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ