表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/86

72

「違う」


リオは即座に答えて目を逸らす。

目を合わせていたら動揺を悟られてしまいそうだ。手を固く握りしめていないと震えてしまいそうだ。

金髪に赤い目だって?一族の中に金髪の人は何人もいた。赤い目の人も何人もいた。ただ金髪で赤い目は、リオともう一人。デックだけだ。だからその人はデックだ。七年前に突如として消えたデック。生きていたんだ…。消えてからどこで何をしていた?そして今はどこにいる?


「ふーん」と呟いて、ケリーが立ちあがる。そして机を回ってリオの隣に立ち、顔を寄せてきた。


「まあ認めたくないなら、それでもいいけど。俺はさ、初めて君を見た時から、君も不思議な力を使えるんじゃないかと思ってワクワクしてる。ギデオン様は何も(おっしゃ)らないけど、力があるから直接雇われたんだろ?」

「違う。俺が一人で旅をしていて金に困っていたから、助けてくれただけだ」

「へぇ、そうなのか」


ケリーが目を伏せたリオの肩に手を置く。

どういう顔をしているのか見えないけど、笑った気配がした。


「この部屋はさ、城の最上階にあるんだよ。知ってた?ここに来るまでに、かなり階段を(のぼ)っただろ?取り調べる必要がある要注意人物が、逃げないように。隣の部屋には見張り。窓の下は敷き詰められた石畳。絶対に逃げられない。まあ俺は、逃げたりしないけど」

「さっきの話…」

「なに?」


前を見つめたまま、リオが口を開く。


「俺が不思議な力を使うんじゃないかってこと、ギデオンに話さないのかよ」

「話さないよ。君は認めてくれないし。ギデオン様が知らないなら好都合だ。だって世界に一人か二人しかいなさそうな貴重な人間だよ?そんな貴重な人間、誰にも渡さない。俺が利用する」

「…最低だな」

「そう?利用すれば、この領地だけでなく国も手に入れられると思わないか?」

「思わねぇ。てか、もし俺が不思議な力を使えるとしても、あんたなんかに一切協力しない」

「うん、リオはそう言うと思っていた。だからリオを(さら)おうと思ってる」

「は?話聞いてなかったのかよ。俺はあんたが見た人のことは知らないし、不思議な力も使えない。拐っても無意味だ」

「違うな。彼と君は深く関係がある」


リオの肩に乗っていたケリーの手が、リオの首に触れる。

直後にリオは肩を震わせた。

なに…チクッとした…?

リオがゆっくりと横を向き、ケリーを見上げる。

ケリーは、目を細めてリオを見ていた。


「なに…?」

「痛かった?なるべく痛くないように刺したんだけど。ほらこれ」


ケリーの指には細い針が挟まれている。


「針の先に薬が塗られている。でも大丈夫だよ。ただの眠り薬だから。少しだけ催眠薬も入ってるけど。今から俺が言うことをよく聞けよ。この薬は半日効く。いいか、月が中天に昇った時に目を覚ませ。そうしたらこっそりと部屋を抜け出して、城の東の門まで来るんだ。わかったな?」


リオは、ぼんやりとケリーを見る。

ケリーの言葉を頭の中で反芻(はんすう)しながら、俺は門には行かない、というか行けないよと思う。

だって隣で眠るギデオンが気づく。俺と寝るようになって不眠症が治ったと喜んでるけど、不審な動きがあれば気づいて起きる。だからきっと、ギデオンが止めてくれる。

「約束だ」と言うケリーの声を聞きながら、リオは机に顔を伏せて、ゆっくりと目を閉じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ