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激しく降る雨音がうるさくて聞こえにくいけど、確かにギデオンの声だ。リオを呼んでいる。

リオは、アンを洞の中に置くと、声が聞こえた方角に向かって叫んだ。


「おーい!こっち!ギデオン助けてっ」

「…リオっ」


リオの声が届いたらしく、ギデオンの声が近づいてくる。

よかった、助かったと安堵したけど、崖から落ちた理由とケリーのことをどう話そうかと困惑する。

正直に話してもいいものか。もしもケリーが俺を不審に思い、魔法を使えるかどうかを確かめる為にこんなことをしたのなら、ギデオンにもそのことを話すだろうか。でも、魔法を使う瞬間は見られてはいない。だから白を切ろう。崖から落ちたけど運良く足を怪我しただけだと言おう。きっと大丈夫だ…。ん?あれ?痛い、気持ちが落ち着いてきたら、額や腕が痛い気がする。

リオは恐る恐る額を触る。そして触れた指先を見て「ひっ」と声を上げた。

指先にべったりと血がついている。切れてんじゃん。あれか。木の枝にもしこたま当たったからな。シャツの袖にも血が滲んでるってことは、腕も切れてんじゃん。怪我だらけじゃん。くそっ!ケリーのやつ、絶対に許さないからな!

背後で「クゥン」と可愛らしい声がして、リオは怒りでひきつらせていた顔を瞬時に笑顔にして振り向く。

アンが洞から出てきて、心配そうにリオの手を舐めようとする。

リオはアンを膝の上に抱き上げて、何度も頭を撫でた。


「心配するな。大丈夫だよ。おまえに怪我がなくてよかった。でもせっかく乾かしたのに、また濡れちゃったじゃねぇか。寒くないか?」

「アン!」


アンがぶるると身体を振る。弾かれた飛沫(しぶき)がリオの顔に当たって、リオは笑いながら「おいやめろ」とアンを抱き上げた。そして黒い鼻先に鼻を擦りつけていると、ギデオンが来た。


「リオ!無事かっ」

「あ、ギデオン」


ギデオンはぬかるんだ地面に片膝をつき、リオの肩を掴む。


「額を切ったのか。他に怪我は?」

「ん、足が痛い。骨にヒビが入ったか折れてるかもしんねぇ」

「そうか。頭は打ってないか?」

「たぶん。うまく落ちたから」

「そうか。アンは…大丈夫そうだな」

「うん。アンに怪我がなくてよかったよ」

「バカめ。よくあるものか。おまえが怪我をしてるではないか」

「大したことはない…と言いたい所だけど、歩くと痛いです。助けてください」

「ったく。ほら」

「え?」

「早く乗れ。長く雨に打たれると風邪をひく」

「ありがとう…」


ギデオンがリオの前に背中を向ける。

リオは、アンを抱いて、素直に広い背中に乗った。

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