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扉が閉まるなり「大丈夫か」と問われ、リオは「大丈夫だよ」と答える。

ケリーのことを不審に思ってるけど、何も確証がないのに悪く言えない。ケリーはギデオンにとっては、信頼してる部下だろうし。リオが苦手だからって、「あの人何を考えてるのかわからなくて怖い」とは言えない。

それよりも…とリオはギデオンを見上げる。


「あの、お願いがあるんだけど」

「なんだ」

「ここに来る道中に考えてて。ここまで来てこんなこと言うの、心苦しいんだけど、俺はやっぱりここで出来る仕事はないと思う。だからもっと役に立つ人を雇って、俺は解雇してほ…」

「ダメだ」

「…なんでっ」


リオが言い終わるよりも早くに、拒絶された。

なんで?魔法が使えることがバレてるなら、俺に執着するのもわかる。だけどさ、痩せっぽちで大した力仕事もできないし、字は読めるけどそんなに頭も良くない俺を雇う理由ってなに?

リオはなんだか酷く疲れて「座ってもいい?」と返事を聞く前に、部屋の中央にある大きなソファーに身を沈めた。

優雅な仕草で、ギデオンも隣に座る。そして身体を横に向けて、リオを見てくる。

リオは、真っ直ぐに見てくる視線を感じながら、大きく息を吐き出した。

ギデオンも俺に好意を抱いてる感じじゃない。それなのになに?ただの庶民を城の自室に招いて、何をさせようとしてるんだ?まさか…夜伽…。

そこまで考えて、リオは首を振る。

違うか。ギデオンは俺の気持ちを無視して抱いたりしないはず。それにいくらでも相手をしてくれる綺麗な女の人がいるだろうしさ。

リオは横を向き、ギデオンと目を合わせる。そして首を傾げて「なあ」と聞く。


「そんなに俺に拘るのなんで?俺はどんなことをすればいいの?」

「…仕事の内容は、夜になったら話す。それまでゆっくりと休んでくれていい」

「夜…」


え?やっぱり夜伽…?ウソだろ。もしそうなら、俺は絶対にここから逃げ出す!そういうことは、好きな人としかしないって決めてるんだからな!

リオが覚悟を決めていると、いきなりギデオンが立ち上がったから驚いた。


「リオ、こっちに来い」

「え…なに」


少しビクついたけど、仕事は夜だと言ったなら、今は何もしないだろう。

リオはギデオンの後についていく。

広い部屋にいくつかあるうちの一つの扉の前で足を止め、ギデオンが「開けてみろ」とリオに促す。

リオがそっと取手に手をかけ押すと、扉が向こう側に開く。向こう側は小さくて質素だけど綺麗な部屋だ。リオは中に入り「ここ、いいね!」とはしゃいだ。


「気に入ったか?ここはリオの部屋だ。好きに使え」

「えっ、いいの?ありがと…」


いや待て!なんでギデオンの部屋と続いてるの!

即座に思った疑問が、声に出ていたらしい。

ギデオンが片眉を上げて、呆れたように息を吐く。


「おまえは俺専用の使用人だと言っただろう。俺の世話をするために、常に傍にいてもらわねば困る。部屋が離れていては不便ではないか」

「え、そうなの…」

「そうだ。専用の使用人に対しての扱いは、どこの貴族も同じだ。知らなかったか?」

「……」


庶民だから知るわけないじゃん。

リオは口を尖らせて黙る。

リオは貴族の世界の常識を知らない。ギデオンがそうだと言えば、信じるしかない。

そしてそんなことはないと思いたいが、本気で貞操の危険を感じたら、魔法を使ってでも逃げてやると、もう何度目かもわからない決意を誓った。




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