↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
38/86

38

リオは、ずずっと鼻をすすりながらギデオンを見上げた。


「ギデオン…ごめん。俺を置いて先に行っていいよ。行き方を教えてくれたら、後で行くから」

「バカめ。病人を置いて行けるか」

「でもさ、俺、ずっと足でまといじゃん。本来なら、もう着いてるはずなのにさ…」

「俺がリオに来てくれと頼んだのだ。気にするな。おまえは自分の体調だけを心配していろ」


そう言い終えるなり、ギデオンがリオを抱えて立ち上がる。

リオが慌てて地面に置いたアンに向かって手を伸ばすと、アトラスがアンが入った鞄を抱き上げた。


「リオ、この子は俺が抱いてようか?」

「いや、大丈夫だよ。アンは俺じゃないとダメだから…」

「そうなの?アン、リオのところに行きた…」


アトラスが言い終わる前に、アンがリオの胸の中に飛び込んできた。「アン!」と鳴いて、リオの顎をぺろぺろと舐める。


「ふ…ふふ、くすぐったい。今、吐いてたから汚いぞ」


リオが手で遮ると、今度は手のひらをしつこく舐め始める。

その様子を見て、アトラスが困ったように笑う。


「リオのことが大好きなんだなぁ。アンは可愛いから、俺も抱いてみたかったんだけど…残念」


リオは顔を上げてアトラスを見る。

アンを可愛いと言われて嬉しい。自分のことを褒められるよりも嬉しい。きっともう、アンはリオの中で何よりも大切な存在になっているから。

リオは、アンの黒い鼻先に自身の鼻をつけて、「おまえのこと、可愛いだって。よかったなぁ」と笑った。

そしてギデオンを見て、早く行こうと口を開きかけた瞬間、全身に鳥肌が立つ。

あ、これはヤバいやつだ。半年に一度の割合で来る、最高に体調が悪くなるやつだ。これになると、丸一日は動けない。一人の時は、宿の部屋にこもってひたすら寝ていた。今は目的があって移動してる最中だから、一人じゃないから、ひたすら寝ているわけにもいかないのに。皆にもっと迷惑かけちゃうなぁ。

リオは申しわけない余り、また泣きそうになったけど、なんとか耐えた。しかし口を思いっきり曲げたために、ギデオンに変な顔をされてしまう。

わかりにくいけどギデオンは表情豊かだな…と、ぼやけてきた視界で男の美しい紫の目を見る。そして「どうした?」という低音の心地よい声を聞きながら、リオは目を閉じついに意識を手放した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。