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振り向くと、すぐ背後にギデオンが立っている。

リオはドキドキと鳴る胸を押さえて座り直した。


「な、なんでもないよっ。忘れもの?」

「洗い終わったから出てきた」

「え?早くない?」

「おまえを見つける前に、一度入っている。だから軽く浸かっただけだ」

「あ、そう」


ギデオンからはいつもいい匂いがしているから気にしてなかったけど、そういえば俺と同じ石鹸の匂いが微かにしてたな…とリオは思い返す。

ギデオンはリオと同じく生成りのズボンと、ズボンと同色の丈の長い頭から被る上着を着ている。

同じ物を着ているのに、かっこいいのはどういうこと?背が高いからか?

リオがギデオンの頭からつま先までを見ていると、また髪の毛を触られた。


「なんだ、乾いてるじゃないか」

「…この布の吸収力がいいからね。すぐに乾いたよ」

「ふむ…」

「なに?」


ギデオンが考え込むと、緊張する。すごく勘がいいみたいだし、俺の秘密に気づかないよね…。

リオの心配をよそに、ギデオンが二つのコップに水を注いで、一つをリオに差し出す。


「ん」

「ありがとう…ん?これ美味しいね!」

「柑橘の果汁を混ぜてあるらしい。飲みやすいだろう」

「うん」


リオはいっきに飲み干し、ぷはーっと息を吐き出した。


「お腹すいたぁ」

「まあ待て。もうすぐ食事が運ばれてくる」

「わかった。ところでさ、俺、今夜はここに泊まるけど、この前の代価をもらったら、また旅に出るよ」

「…ここに来る前にも言ったが、それに関して相談がある」

「相談?」


リオが首を傾けて聞いたその時、扉の外から声がして、木の箱を持って使用人が入ってきた。




テーブルに所狭しと並べられた料理を平らげて、満腹になったリオを眠気が襲う。ギデオンの相談とやらを聞きたいけど、どうにも目を開けていられない。


「眠い…ギデオン…寝てもいい?話…明日聞く…」

「いいぞ。朝起きて逃げるなよ」

「逃げないよ…おやすみ」


リオは目を擦りながら、ふらふらと部屋の隅にあるベッドに向かった。しかしギデオンに腕を引かれて、「こっちで寝ろ」と大きいベッドに座らされる。

「え?なんで」と疑問を口にしたけど、眠くてたまらないリオは、のろのろとスリッパを脱ぐと、広いベッドの端で仰向けになった。そして数字を三つ数えるまでには、眠ってしまった。そして翌朝、目を覚ますなり叫び声を上げることになる。


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