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茶髪の騎士が近づきリオの腕を掴んで引っ張る。

リオはよろめき騎士の肩に顔をぶつけた。その衝撃で更に目が回り、脱力して座りそうになる身体を、もう片方の腕を灰色髪の騎士に掴まれて引き上げられる。


「おっと、しっかりしてくれ。この近くの宿まで歩くんだ」

「いや…だ」

「嫌?じゃあどうする?ここでやってもいいんだぜ?」

「卑怯…もの…め」

「なんだって?」


バチン!と鋭い音と共に、リオの左頬に衝撃が走る。直後に頬がヒリヒリと痛んで熱を帯び、殴られたんだとわかった。

だけどリオは怯まない。身体に力は入らないが、唇を噛んで、灰色髪の騎士を鋭く睨む。


「嫌な目をするじゃないか。まあいい。すぐにその目から涙を流させてやる」

「だ…れが…泣く、か…」


騎士に顎を強く掴まれ、痛みに顔が歪む。それでもリオは怯まない。今から何をされるかという恐怖より、怒りの方が大きいからだ。

「おい」と灰色髪の騎士が茶髪の騎士に頷き、二人に両脇を抱えられるようにして、店から離れて行く。

リオは、出せる限りの力を出して身をよじるけど、掴まれた両腕がほどけることはない。

まずい。このまま宿に連れていかれたら、たぶんヤられる。自慢じゃないが、リオは童貞で処女だ。初めては好きな人とすると決めている。こんな名前も知らない奴らに、しかも大嫌いな騎士にヤられるなんて、死んでも嫌だ。

今までも、このような危険な目に合いそうになったことはある。だけど薬を飲まされたりはしなかった。動けたから逃げきれた。こんな身体が動かない状態では、無理だ。せめて指先だけでも動かせれば、魔法が使えるのに。


「くそ…はなせ…」

「抵抗しても無駄だぞ。ほら、力が入らないだろ。大丈夫、気持ちよくしてやるから」


リオは悔しくて、唇を噛んだ。

狼領主は何をやってるんだ?もっと部下を教育しろよ。ひと睨みで震え上がらせるくらい怖いんだろ。もっと部下に睨みを効かせろよ。

目の前の騎士だけでなく、その上にいる狼領主にまで腹が立ってきた。

宿の前に着き、灰色髪の騎士が扉に手をかけたその時、リオは今出せる渾身の力で灰色髪の騎士の足を蹴る。しかし蹴るというよりは軽く当たっただけだ。それでも灰色髪の騎士の癇に障ったようで、直後に腹を殴られ、ずるずるとその場にうずくまった。更に背中を踏まれ息が詰まる。


「うっ…」

「ずいぶんと足癖が悪いな。躾が必要なようだ」


くそっ…足癖が悪いのはどっちだよ。足を退けろよ。

リオは悔しくて、煉瓦を並べた地面を指で強く掻いた。

背後から髪を掴まれ顔を上げさせられる。睨みつけてやると、灰色髪の男の目が、す…と細くなった。


「庶民風情が。騎士にそんな目を向けていいと思ってるのか?さんざん犯して森の中に捨ててやる。魔獣の餌にしてやるよ」


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