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全ての料理を平らげ、二人で優雅に食後の紅茶を飲む。

リオは紅茶の香りを堪能しながら、こっそりとギデオンを見て思う。

ねぇこの人、食事中、ほぼ喋ってないじゃん!なにが「一人で食べても味気ない」だ!一人で食べるのも変わらなかったじゃん!

そう思ったけど、カップを置いて窓の外を眺めるギデオンの横顔を見て、そうかと気づく。

なにも喋らなくても、黙っていても、誰かと同じテーブルに座って一緒に食べることがいいんだろうな。俺も久しぶりに誰かと食べた。母さんがいなくなってから、ずっと一人で過ごしてきたから、不思議な感じだ。

リオが紅茶を飲み終えカップを置くと、「風呂に入るか」とギデオンが立った。


「え、まさか一緒に…」

「なんだ、入ってもいいぞ」

「いやっ、いいです!俺は部屋に戻る」

「そうか。リオの部屋はどこだ?」

「この下の階。タダで泊まらせてもらうのでね」

「タダではないだろう。仕事をしていたではないか」

「まあそうだけど」

「リオ、俺も一つ仕事を頼みたい」

「なに?」

「一刻後に、酒を持ってきてくれないか?」

「いいよ。さっきも結構飲んでたと思うけど、好きなんだねぇ」

「嫌いではないが…な」


そんなに飲むのに嫌いではないってなんだよ。リオは不思議に思いながら、一旦自分の部屋へ戻り、大浴場へ向かった。

因みにギデオンが使う風呂は最上階の客専用の豪華な風呂だ。

金持ちっていいよな。でも俺は贅沢は言わない。普通に生活できればそれでいいんだ。



ちょうど一刻後に、三たびギデオンの部屋を訪ねた。扉の外から声をかけると、すぐに開いて端正な顔が現れる。


「どうも。酒を持ってき……まし…た」

「入れ」


ギデオンの姿を見て、リオは息を止めて見とれてしまう。裾の長いガウンの胸元が大きく開いて、素晴らしい胸筋が見えていたからだ。

リオは服の上からでもわかる自身の貧弱な胸を見下ろして、小さく息を吐く。そしてギデオンの後ろについて中に入り、テーブルの上に酒とグラスの入った箱を置く。


「なんだ?俺に言いたいことがあるのか?」

「あー…いや、うん、ギデオンさんてさ、結構鍛えてたりすんの?」


チラチラと見ていたリオの視線に気づいたらしく、問われてつい正直に聞いてしまった。

更に訳が分からないという様に、ギデオンが首を少し傾ける。光の加減で青にも見える、黒髪の湿った毛先から、雫がぽたりと落ちて首に流れた。そのあまりにも艶かしい様に、ドキリと心臓が跳ねて思わず口をつぐむ。

おいおい、いくら綺麗な顔をしてると言ったって男だぞ!俺よりもデカくて筋肉もりもりの男だぞ!しかもちっとも可愛げのない!そんな奴にさぁ、なんなのドキッて。しっかりしろよリオ!

頭の中で自分に喝を入れてると、「どうした?眠いのか?」と低い声で聞かれて「大丈夫ですっ」と即答した。

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