19:事件収束か!?
この物語はSFカテゴリーにて投稿中の『光と陰-織りなす夢の形-』のプロローグです。主人公”ヒデ”の視点でソフィアとジュリアのBLANC TWINSが描かれている日記をお楽しみください。
《あらすじ》
1980年代のある夏の暑い日に偶然上野公園で1人の金髪美女に出会う。まるでアニメフィギュアのような容姿のソフィアにノックアウトされてしまった。生まれて初めて情熱を感じるようになった理屈っぽい性格の大学生のヒデ。そして今までろくに1人で国内旅行もしたこともない彼だが、それがきっかけで夢を探すヨーロッパへの一人旅が始まった。ヨーロッパの国々で過ごすとともに異文化や価値観の違い、また真のライフスタイルというものを実感する事になる。しかし、その先には予想もしていなかったことが起こるのであった。さて異文化の果てとは一体どんなことろなのであろうか?
日本での価値観しか知らないヒデは、スイス・フランス・イギリスと放浪しつつその国のカルチャーや価値観の違いを体感し少しずつ異文化を理解し吸収していく。
そしてその異文化の果てには・・・
その先には驚くべきパラレルワールドがあったのだ。ソフィアとジュリアの謎の双子美人姉妹 Blanc Twins との関係が深まり吸い込まれるようにSF体験をしていくのだが…
モラトリアム期間にいる思春期のヒデは『いったい自分の夢のかたちとはなんなのか?』という問いかけに悩みながら自分なりの将来を模索していく。
荒廃したパラレルワールドを舞台に水陸両用の移動ヴィークルであるホバージェットでヒデと一緒に旅をする美人姉妹の妹ジュリア。彼女と一緒に行く先々で戦いに巻き込まれながら“剣姫ジュリア”に惹かれていく。
そして2人はお互い同じ価値観を持っている事に気が付き愛が芽生えていくのだが…
しばらくしてジュリアが部屋に現れた。「今までソフィアと属代表と今後のことに関して話していたんだけど・・・日本としては侵入者に関しては検問で厳重にブロックしてはいるんだけど、タイムトリップしてくる場合は場所が特定できないから対処できないらしいの。まあ、そうよね。だからさっきのあいつのようなアンドロイドがまたここにくる可能性が高いの。そうすると私達は永遠に奴らに狙われることになるのよ。それでもヒデはここの世界にいたい?それとも元の世界に戻りたい?」と聞かれた。「奴が現れるまでは、ここの世界もいいかなと思っていたんだけど、こんな襲撃がしょっちゅうあると、いずれは僕か僕らがやられることになるんでしょ? 結局のところそれだとここにはいられないんじゃないのかな?」と僕は曖昧に答えた。「そうよね・・・」とジュリアは窓越しに外を眺めていた。「私があなたとずっと一緒にいられれば守れるんだけどね・・・ヒデはそれでもいいの?この世界で私とずっと一緒に生きることを選んでも? それともやっぱり予定通り元の世界に戻って普通の生活に戻る方がいい?」と僕の目を覗き込むようにいつになく真剣な眼差しで聞いてきたのだった。「その前に君に聞きたいことがあるんだけどいいかな?」、「いいわよ 何?」、「君は人間なの?それともフィーメイルAndroidなの? やっぱりどうしても訓練しているからといっても僕たちみたいな普通の人間には見えないんだよね。」するとジュリアは、「まあそうよね! そう思うのも無理はないわと思うわ。わかったわ。私たち姉妹は未来から来たといったと思うけど、それは本当よ。AIがコントロールする未来世界から。そしてAIとAndroidがネットワーク化してヒューマンを凌駕しそうになってきたの。それに対応するためにヒューマンはAIやAndroidをコントロールできる知能的な能力と強力な身体能力も必要になってきたの。そして、特に日本は遺伝子を操作して人類を産むことに倫理的な抵抗がなくなっていたから、AIのデータ分析による『エンハンスドヒューマン』を造ることに成功したの。いわゆるAIを操る頭脳的な能力とAndroidとも互角に戦える強化人間ということなんだけどね。そう私たち姉妹はそれによって生まれたエンハンスドヒューマンのツインズなのよ。ソフィアは対AIをより得意としていて、私は対Android戦をより得意としているの。そして細胞は強化されていて絶えず修復と入れ替えをしているから不老不死まではいかないけどそれに近い体になっているの。ヒデは私がそんな体でもいいのかしら?」と謎であった一部始終を話してくれたのだった。「そうなんだね! 正直に答えてくれて有難う! やっぱり驚いたけど秘密は絶対に守るよ。じゃ強化されているとはいえ人間ということには変わらないんだよね! そうでも同じ人類であれば僕は全然大丈夫。たとえAndroidだと言われても少し驚きはすると思うけど、それはそれで受け入れようとは思っていたんだよ。」と僕も正直に答えた。「でも君は生まれ育った未来の世界には戻らないわけ?」、「ええ、体に悪影響が出るからそもそもタイムトリップはしたくはないんだけどね。過去には戻れるけれど、今のところデバイスがないから未来には行けないんだよね。だから私たち姉妹はミッションを受けてのワンウェイチケットだったわけ。そしてヒデの脳力に関することは私達の最重要案件の1つでもあったわけよ。だからこのミッションをコンプリートできて本当に良かったわ。ありがとうね!! 本当に感謝しているわ! これで未来社会を救える段取りができたころになるの。あとのミッションは今のところヒデを守るのみなのよ。」
ということは同じ人類なわけだし、僕らは人間同士のカップルになるということだ。もし彼女にAndroidだと言われても受け入れようとは思っていたのだけれども、同じ人類に越したことはないとは思う。
「それじゃ もう一度聞くわね この世界にいたい?それとも戻る?」とジュリアはまた同じ質問をしてきた。「うーん 困ったね! どうしたらいいんだろう? まだ結論が出せないよ。君とずっと一緒にこの世界で過ごしてみたいとは思っていたんだけど・・・ソフィアは僕と君がカップルになっても問題はないの?」、「うーん、そうね・・・ソフィアもヒデのこと気に入ってるというか好きなのよ。私も好きだしね・・・私はヒデと一緒に居たいから、だからもしかすると・・・ソフィアがその気なら3人で一緒に生活するっていう選択肢もありはありかもね。」と思ってもいなかった選択肢も出てきた。強化人間の美人姉妹と一緒に生活する・・・それってまるで小説でも書けるぐらい新鮮な感覚になるのかなと思いつつ、僕はいったいそもそもの元世界に未練はないのであろうか?とも最終検討するようにした。
色々な側面から比較してみよう。この世界でよくないことはなんだろう・・・個性的なライフスタイルをおくる選択肢はないのかも。とはいうものの、全てにおいて国から配給物資で生活が成り立っているため、不自由さはなく、逆に衣食住の生活レベルは相対的には高いと思える。だが趣味的に差別化された個性を満足させる遊びの部分は全くない。ただそういった趣味的嗜好性を求めていないのであれば全く問題はない世界とも思える。衣はホログラムにて表現されるし食はオーガニックな合成食品、でも住いはホテルに住む感覚ではあるが、今のところ結構自分に合うかもしれないと思っている。そして仕事は? 元世界での可能性は未知数ではあるが、この世界では僕のミッションがあるらしいのでそれを極めて行きたい気持ちもある。そして異性である『彼女』の存在は何はともあれ僕にとっては最重要事項である。これは今のところ最上級だ。ということは、僕は特に元世界の家族や友達を重要視してはいないから、こっちの世界の方が断然いいという結論になってくるのだ。
これで頭で考えた結論は出た。ただ心としてもそれで問題がないのだろうか? 時間を要した方がその結論を導き出すための最善策であるとは思うのだが、もし元世界に帰るのであれば日本へ帰国するそもそもの予定日に合わせて帰りたい。そう、つまり正直あまり時間はないのだ。これは僕の人生の1番重要な道を選ぶ分かれ道でもあり、その選択によってこれからの人生が全く変わって行ってしまうのだと思う。そして残された時間の中で結論を出さなければならないのである。『どうしよう・・・』理屈で検討しても全然響く答えが出てこないのだ。
では、仮に元世界に帰った場合はどうなるのであろう? 今度は『もしジュリアと一緒に帰れて僕と一緒に居てくれるとしたら』という前提で考えてみた。まずスイスに住むのは僕の仕事やビザを考えるとすぐには無理であろう。日本に戻って、ジュリアも日本に住んでみたいと言っていたことを信じて考えてみると、大学を卒業するまではアルバイトをして家賃や生活費を稼げるのか?という金銭的なことが最重要課題となってくる。ジュリアも外国人となるので、日本では労働ビザがないと仕事ができない。となると当分僕のアルバイト代だけで生活が可能か?ということになってくる。結局元世界での現実の生活は結構ハードルが高くて大変だ。それに比べてここでは生活は保証されているのだ。ただ個人的な趣味嗜好を持つことや大枠からはみ出たライフスタイルの実現は難しそうではあるが、ある意味イデオロギー的には理想社会を描いたかつての社会主義社会なのだろうとも思った。
「ねえ、ジュリア、色々と僕なりにシミュレーションしてみたんだけど、できれば、君と2人で生活できたらと思っているんだ。日本で生活ができるかも考えてみたんだけど、今は学生だからアルバイトして稼いだとしても生活は結構難しいかもしれない。でも、ここでは生活は保証されているみたいだからソフィアさえ良ければ君と一緒にこの世界で生きて行きたい思うんだ。でも君の意思も確認したいと思うんだけど君はどうしたい?」、「そうね。あなたが好きよ! 今回のこの冒険で実際そう思ったわ。あなたとは波長が合うし一緒に生活するのは楽しいと思うわ。できれば私も一緒の空間で生活して一緒に色々なことを楽しみたいと思うの。だからそれを考えるとここの世界の方が条件はいいのはわかる。ただ今の私のタスクはあなたの護衛ではあるけど、またAndroidがやってきた場合は戦わなければならないの。数が多いとやられることもあるかもしれないわ。だから奴らが来ることを想定して対策を練らないといけないわね。あなたはそんな追われる生活でもいいのかしら?」と逆に再確認されたのだった。
そうかジュリアのここにいる場合の仕事はバトルタイプだから戦わなければならないのであった。
「そのAndroidとのバトルは君1人だけなの?国の警察や防衛軍のサポートはないの?」、「人ではなく、ロボットのサポートだったらね。でもAndroidに比べると動きが鈍いからやられるだけになってしまうわね。せめてガリオンがいれば話は全然違うんだけどね。彼も私たちと同じで未来社会から来たものなのよ。ただこの国ではインパクトが大きすぎてマスコミ的にもスクープになると思うわ。他の国に比べるともの凄く平和な国だからね。」そうか、Androidだから、ここに侵入さえできれば人間に同化してアサシンとなり僕らは絶えずその抹殺の対象になってしまうのか。見た目にはジュリアは人間だから問題ないが、流石にガリオンは着ぐるみを着させても凄く目立ってしまい一緒に行動するわけにもいかないのはわかる。しかもあのAndroidは彼女に一旦首を折られているが、自己修復するらしいのでまだ生きた状態でこの国にいるわけだ。「そうか、僕らを襲ってきたAndroidはこの国にまだいるんだよね?」と思い出したように聞いた。l「そうよ、あいつが今一番の脅威になるわね。やっつけるにはホバージェットに置いてきてしまったロングソードが必要なの。とりあえず属に話して、ここの世界にいるんだったら、ホバージェットごと持ってきたいと思っているわ。だからこれからどうするか?で私達のこの先やることが変わってくるの。」
そうか、僕に決定権が委ねられているのか・・・どうしようか?・・・元世界に逃げるのか? ここの世界でジュリアと一緒に戦うのか?という2択になるわけだ。「ねえ、ジュリア、どうせ僕があいつらに狙われるんだったら、もっと僕自身戦えるようにした方がいいと思うんだけど、君から戦い方を学べるかな?」、「いいわよ!鍛えてあげるわよ! じゃ この世界に残ることにするの?」 元世界の競争社会よりは、人が少ないこの世界の方が、自分が役に立てる場所があるのではないか?と思い始めていた。僕はこの世界では命を狙われていて、まるで映画の世界の主人公のようではあるが、これまでのジュリアとの冒険はそれなりに楽しいものであった。蟻のように働いても、上り詰めることができるかが全くわからない世界よりは、競争がなくハイリスクハイリターンの世界の方が生きている実感があるように思える。
「わかった! 決まったよ、ジュリア! この世界にいることにするよ! 君もそれでいい?」と彼女の意思も再確認した。「わかったわ! じゃヒデの思いを優先するわ。一緒にここで頑張りましょう! そうと決まったら、属に相談してホバージェットを取りに行きましょうよ!」
と、苦悩の末、僕の将来はここで生きることに決まったのだった。多分元世界では、『邦人学生がヨーロッパの旅行先で失跡』というニュースが流れることになるのだろうと思うと笑えれきた。まあ今までの約20年の人生の中で、特に未練は感じないし、ここで異世界のように新しい人生をスタートした方が前向きな人生を歩めると思い行き着いた結論であった。
ジュリアは属代表に説明し、対Android対策として、例外的に彼女のホバージェットとガリオンを含めた装備一式を首都に移動させるのを認めてもらったので、また2人で東京湾まで来ていた。ホバージェットに戻り再度冒険のスタートである。 東京湾からホバージェットで谷間を縫って湯沢に向けて移動中なのだが、これまでの冒険を通して僕らはすでに信じられないほどの硬い絆になっていた。今ではこの狭いホバージェットの中はコージーな居心地の良い2人だけの空間になっている。また『人生冒険だ』と思うと意外とこのキャンパーライフのような生活も捨て難いと思い始めている自分がいる。こんな経験をするまでは全く気が付かなかったのだが、僕は放浪癖があるのかもしれない。いやそもそもこのヨーロッパの放浪がその始まりだったのだ。人生やってみないとわからない事だらけであると悟った。人は生きる為に何を糧にしたら良いのか? それは人それぞれであるが、ステイタス?お金?人の上に立つ?などが世間では素晴らしい事と言われている。それは単に歴史というものが偉人達をフィーチャーして賛美を持って語られている所以であり、果たして世の中に名前を刻むことがそんなにも意義がある事なのだろうか? まだ人生に夢と希望を抱いている青い学生としても、そんな偉業を成し遂げるよりもジュリアとの冒険の方が生きている実感を見出せるのだ。未知の世界に思い切って一歩踏み込んでみて、『人生って、人それぞれで色々な形があるんだな』とも悟った。
そう、僕は『旅人』という生き方を選びたいのだ!
そして長いトンネルを抜けて湯沢に到着した。
「ねえ、ジュリア。君の仕事の中で国外の調査ってあるのかな?」とふと聞いてみた。「ええ、あるわよ。ちょうど北米大陸があまり詳しく調査できていないからカナダの調査依頼も受けているの。あのエリアは東の山脈の中の都市でエドモントンと北のハドソンベイ付近が水没してできた大きな海域の中に水上都市があるのよ。」という答えが返ってきた。「なるほど。未来からのAndroidは結局僕を殺しに来るんでしょう? そうなら、僕らは湯沢にいると居場所が明らかになってしまうよね? 日本にも迷惑をかけるし、 今いるAndroidをやっつけたら、そんな調査を仕事にして放浪するってことはできないのかな?」と『旅人』になることを提案してみたのだった。「そうね。いる場所がわかると厄介よね。でもヒデはそんな旅人のような放浪生活は続けられるかしら? 私は慣れているから全然平気だしヒデと一緒なら大歓迎だけど。とても楽しそうだしね!」と逆に彼女の中に笑顔が見えた。「君と一緒だったら全然平気だよ! むしろ楽しそう! じゃ、属代表に相談してそうさせてもらおうよ?」、「ええ わかったわ?」ということで一気にこれからの僕らの方向性が決まったのだった。まずはあいつをやっつけないと!
湯沢では僕らが東京湾に戻っている間に、あのAndroidを警察ロボット群がアグリカルチャーエリアに封じ込めていた。ジュリアによるとAndroidは折られた首をすでに自己再生しているとの話だが、あの未来から来たAndroidをここの警察ロボットには倒せないとのことで、逃さないように包囲網を作って本部と連絡を取り合っている状態であった。僕たちは早速その包囲網に向かい、再度アグリカルチャーエリアの監視塔の駐機場に戻ってきた。「奴は建物の中にいるのかな?」と僕は聞いた。「中は無人だからそこで自己蘇生していたと思うわ。ヒデ、悪いんだけど私のためにベイト(エサ)になってくれない? この建物の中に立て篭もってられると埒開かないから、誘き出して素早く抹消したいの。あいつはヒデをやりたいわけだから真っ先に飛びつくでしょ! それがAndroidの習性だから。」と彼女に言われ、僕は怖い思いを抑えてアーマーを着用し念の為にブラスターガンも持った。ジュリアももちろんアーマーを着用しロングソードを背中に挿しガリオンを従えている。そしてあの弓と爆弾矢を手に持っていた。「あいつは自己犠牲をしてでもあなたを抹殺するようにインプットされているから、建物の前にいればきっと自分から出てくるわ。」警察ロボットたちはブラスターガンを備えており、それによって動きを止め彼女がトドメを刺す手筈になっているようだ。僕とジュリアが建物前で待ち構えていると、やはり予想通り奴が姿を現したのを入り口のガラス越しに確認できた。最前列に配置されている6体の警察ロボット達はブラスターガンを構えており、ジュリアの号令を待っていた。するとそのAndroidは素早くガラス戸を破り出てくるところを、ジュリアの合図でロボット隊はまず一斉にブラスターガンを浴びせかけた。敵の動きは素早かったが幾つかのガンが命中し一瞬奴の動きが止まった。そこを目掛けてガリオンが飛び出した。そしてジュリアは弓で爆弾矢を放つ。ガリオンは作戦に慣れているのでジグザクに走りながらその瞬間は左方向に旋回していた。
ジュリアの爆弾矢が奴の胸に命中し装甲を破損して爆音とともに右腕が同時に吹っ飛んだのだった。そこにガリオンが襲いかかり左腕をもぎ取った。弓を放ったジュリアはそのまま前方に物凄い速さでダッシュして行ったのだ。彼女の動きはさすが強化人間のため機械のAndroidよりも俊敏なのである。走りながら背中からロングソードを抜いて、ホップ・ステップと跳躍しながら前に身体を投げ込み1回グルっと身体をスピンさせて遠心力を使いながらAndroidの首を一瞬で切り取った。そして、首が体から離れたボディは少しの間歩いていたが止まった。「ヒデ、戻って奴から離れて!」と彼女が叫び僕は走って奴のボディから離れて行った。まずガリオンが立ったままになっているボディに襲い掛かり倒した。そこに彼女が突進してロングソードを心臓の位置に突き刺し貫通したのを確認して抜いた。そしてすぐにガリオンも彼女もそこから物凄いスピードで離脱していったのだった。後から分かったことであるが、Androidは再生不可能と自己判断すると自爆装置を作動させるのだ。そして5秒で自爆モードが入り物凄い勢いで爆発した。幸い僕らはその圏外に避難していたので被害はなかったのだが、ボディの爆発と同時に頭部も爆発した。今回もガリオンとの阿吽の呼吸が素晴らしかった。エンハンスドボディの弱点は瞬発力と破壊力を優先しているので持続力がないのだという。だから長引く場合はガリオンが先頭に立って、ジュリアはブラスターガンで応戦しながら再度体力が復活するのを待つように戦うらしいのだが、未だそこまで長引いたことがないため実戦ではお目にはかかる事は難しいのかもしれない。ただ、彼女が言ったように数が多い場合はどうなるのだろう?と思った。そして警察ロボット達が現場回収することになるため、僕らはまたホバージェットでガバメントビルに戻っていった。
ホバージェットは中央ビルのパーキングエリアに目立たないように格納し、もちろんガリオンが番をすることにはなるが、その間燃料や弾薬装備そして水・食物などの補給をしながら、日本の技術力が誇る『ステップアップメンテナンス』なるものもお願いした。それはどんなものなのか?現時点では不明であるが、後々の楽しみにしようとおもっている。そして僕らはアーマーを脱いだが、今回は念の為Androidの襲来に備えて武器は所持し中央コントロールフロアーに向かい属代表とソフィアに報告した。そして僕らは先ほど2人の意見が一致した北米リサーチの件も属代表に打診し、「確かにここにいるとまた未来からサイボーグが送り込まれてくるだろうから国民には脅威になるな。しかしながら未来に向けてヒデくんは守らなければならないのだがジュリアが一緒であれば心配はないだろう。それに居場所を隠して移動していた方が先方も予測できにくいだろう。」ということで、その提案が思枠通りに承認されたのだった。ついでに北米の都市と友好関係を結べるように外交もしてほしいということになり、僕らは公認で外交使節という立ち場で仕事ができることになったのだ。
ホバージェットのメンテアンスもあるため出発は明日に決まり、今日1日はソフィアの部屋で3人で過ごすことになった。
ジュリアに関する過去がクリアーになり、
将来の方向性に悩んでいたヒデであるが…やっと決心がついたようだ。さあ、これから2人はどうなるのでしょうか?




