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18/21

18:予期せぬ事件

この物語はSFカテゴリーにて投稿中の『光と陰-織りなす夢の形-』のプロローグです。主人公”ヒデ”の視点でソフィアとジュリアのBLANC TWINSが描かれている日記をお楽しみください。


 《あらすじ》

1980年代のある夏の暑い日に偶然上野公園で1人の金髪美女に出会う。まるでアニメフィギュアのような容姿のソフィアにノックアウトされてしまった。生まれて初めて情熱を感じるようになった理屈っぽい性格の大学生のヒデ。そして今までろくに1人で国内旅行もしたこともない彼だが、それがきっかけで夢を探すヨーロッパへの一人旅が始まった。ヨーロッパの国々で過ごすとともに異文化や価値観の違い、また真のライフスタイルというものを実感する事になる。しかし、その先には予想もしていなかったことが起こるのであった。さて異文化の果てとは一体どんなことろなのであろうか?


日本での価値観しか知らないヒデは、スイス・フランス・イギリスと放浪しつつその国のカルチャーや価値観の違いを体感し少しずつ異文化を理解し吸収していく。

そしてその異文化の果てには・・・


その先には驚くべきパラレルワールドがあったのだ。ソフィアとジュリアの謎の双子美人姉妹 Blanc Twins との関係が深まり吸い込まれるようにSF体験をしていくのだが…


モラトリアム期間にいる思春期のヒデは『いったい自分の夢のかたちとはなんなのか?』という問いかけに悩みながら自分なりの将来を模索していく。


荒廃したパラレルワールドを舞台に水陸両用の移動ヴィークルであるホバージェットでヒデと一緒に旅をする美人姉妹の妹ジュリア。彼女と一緒に行く先々で戦いに巻き込まれながら“剣姫ジュリア”に惹かれていく。

そして2人はお互い同じ価値観を持っている事に気が付き愛が芽生えていくのだが…

そして彼女はウェストポーチだけを持ち僕らは最上階のスカイデッキに移動し2人乗りドローンに乗り込んだ。30階の屋上からの景色は山々も見渡せて素晴らしく綺麗だった。ジュリアがアグリカルチャーエリアまでのルートをナビにインプットしオートパイロットで飛び立ったが、電気で動くEVでプロペラの音は驚くほど静かであった。ペリコプターのように上昇してから、前傾姿勢に変わりソアリングするように滑らかに前進していったのだった。まるで雲の上にいるような感覚になりガラス張りのコックピットからは空から地上までのパノラマが見渡せとても気持ちが良かった。大規模な穀倉地帯であるアグリカルチャーエリアはここからさらに北上した南魚沼あたりに広がっている。


アグリカルチャーエリアの中心部が見えてきた。山間の平地を無駄にしないようにスクエアに構成されオートメーション化された大規模な農業用地が広がっているのが見える。その中心に位置した監視塔が見えてきた。ドローンが駐機できる広いパーキングがありすでに何機か留まってる。

あっという間に到着し僕らはドローンを降りた。ここは空が澄んでいて緑に囲まれ素晴らしい環境で、故あってクリーンエネルギーのみを使用しているとはいえ、やはり僕らの世界とは空気の美味しさが圧倒的に違うことが確認できた。


それは、この広大な施設には移動用のキックボードスクーターという乗り物があるらしく、僕らはそれを借りに監視塔の建物に入ろうと歩き出した瞬間であった。建物から筋骨隆々な若い男性が出てきてこちらを睨んだのだった。「ジュリア、やっと会えたな!ここに来るという情報が入ったから待ってたぜ。そいつが例の遺伝子ホルダーなんだな?お前ら2人はここで一緒に消えてもらうぜ!」と持ち込み禁止のはずの武器それもブラスターガンを構えてジュリアを撃った。ジュリアはとっさに避けたが左腕をかすってしまった。そして「ヒデ!危ない!ジャイロの後ろに隠れて!」と叫んで、僕らは、出てきたばかりのジャイロを盾に身を隠した。そしてすかさず彼女は、ウェストポーチの中に手を入れてあのスリングショットと金属ボールを幾つか取り出したのだった。その間その男は、ブラスターガンをジャイロめがけて数発撃ったため電磁ショックがジャイロ全体に広がった。そしてそのガンの充電の間の一瞬の間であった。ジュリアはスッと立ち上がり、スリングショットをやつに向けて1発思いっきり打ち込んだのだった。丁度男の足元にその玉を打ち込んだ瞬間、金属球が爆発し爆音が轟いた、あれはただのパチンコの玉ではなかったのだ!と気がついた。その爆発ショックで男は怯んで後ろに倒れて込んだ。彼女は間髪を入れずにダッシュし、男の首を目掛けて凄い勢いでジャンプキックをした。男はさらに後ろに倒れ込み首がへし折られた状態で全身が痙攣していた。「ヒデ、これはやられたから、隣のジャイロに乗って!」と彼女が叫んだ。


僕はそのジャイロの方に走っていきフードを開けたら運よく開いたのだった。先に乗り込みモーターをスタートした瞬間にジュリアも飛び込み全速力で上昇しその施設を離脱した。ジュリアはソフィアに緊急連絡し事の詳細を伝えていた。「まずい、あいつらが来ていた。来る可能性はあったんだけど、居場所もバレるなんて・・・」「あいつ、君のことを知っていたようだけど、一体誰なの?」と尋ねた。「・・・・」「あいつはあれで死んだの?」と不安になり立て続けに聞いた。「本当はこれは極秘事項で、言わないつもりだったんだけど・・・こんな危険な状況になってしまったから・・・やっぱりヒデも知らないと私達を不審に思うだろうしね。ソフィアにも話して言うことにしたわ。驚かないでね?」、「もうすでに何度も驚いているから大丈夫だと思うよ。」と僕は苦笑しながら答えた。「実は私達は未来からきたの・・・」、「・・・え、ミライ?? 未来からきたわけ?? パラレルワールドの次は未来なんだね・・・未来からタイムトリップってできるんだね??」と今回はあまりの驚きでその後の言葉を失っていた。


「未来の日本では男女間で戦争をしているの。だからあいつも未来からきたのよ。まだ死んではいないわ、首を折っただけだから時間は掛かるけど奴らは自己修復できるの。私のロングソードがないと抹殺できないのよ。」と。僕は落ち着いたフリをして「まあ今僕らはパラレルワールドにいるわけだから・・・つまり君とソフィアはここの世界の未来からきたわけね?」とは言ったものの信じがたい気持ちでいっぱいでまるでアニメでも見ているような気持ちになった。「そうなの。これ本当にトップシークレットだから誰にも言ってないんだけど、属代表だけは知っているんだけどね。それで私がいた未来とこの日本は協力し合っているの。話せば長い話になるんだけど・・・簡単に言うと、この日本の未来から私達は来ているのよ。日本はこれからどんどんAIが発達して、人間も遺伝子操作で生まれていてさらに人口が少なくなってきたんだけど・・・代わりに、hIE. ニューマノイド・インターフェイス・エレメンツといういわゆるアンドロイドが作られるようになったの。それは、そもそも人間の生活をサポートするように開発されたんだけどね・・・労働だけではなく、プライベートもね。」「と言うことは、夫婦みたいなこと?」「そうね。カップルってこと。例えば、人間の男性には女性のアンドロイドがあてがわれ、女性の人間に対しては男性のアンドロイドがあてがわれたの。カップルを作る時には、人間側の好みを細かく聞いて、その理想の異性をパーソナルメイドして作るわけ、だから外見はもちろん好みになるし、内面も好みに合わせてプログラム可能なの。」「へー凄いね! そんなことが可能になるんだ?」「結局その政策がうまく運んで、やっぱり未来では人間は人間同士の会話にストレスを感じるようになっていったの。自分好みに作られたAndroidの方が気が合うしいいってわけね。子供をつくる時は人間同士の適合する精子と卵子をラボで人工授精して孵卵器で育てるのよ。しばらくはそれで人間優位が保たれていい時代だったんだけどね。 問題はそれからしばらく経ってからのことで人口超知能のASIが実働するようになって状況が変わって行ったの。そのAIとアンドロイドが知能面で融合し、アンドロイド達が自我を持つようになってしまったのよ。Androidはメイル型とフィーメイル型があって、そもそもの男女の特性もインプットされているから、メイル型の闘争本能がアクティベイトしてしまってAndroidの暴走が始まってしまったの。それからは、今まで通り人類と共に生きるべきだというフィーメイル型Androidと人類を淘汰してAndroidが頂点に立つ世界を創るべきだと主張するメイル型Androidとの抗争が始まってしまったの。さっきのはそのメイル型Androidの1体だったわけ。Androidのタイムトラベルは不可能ではないんだけど、タイムトラベルマシーンはフィーメイル側が押さえているはずだから、今まではメイルのタイムトラベルは有り得なかったの・・・しかし・・・多分未来世界で何かが起こってしまったのね・・・」とジュリアがものすごい速さで説明してくれた。


僕が彼女の左腕の負傷が気になって、「そういう未来が待ち構えているんだね。じゃ君も人類の味方なんだよね。良かった! でもその左腕の傷は大丈夫なの?血は出ていないみたいだけど。」「大丈夫よ!ちょっとかすっただけだから。」とは言っていたのだが、かすったといえどもあのブラスターガンが当たってシャツはちょっと焦げているのになんともないのは不思議ではあった。僕らはアグリカルチャーエリアを見学するどころではなくなり、緊急でガバメントビルに戻った。ジュリアはそれを報告しにソフィアと代表のところに飛んでいったため、その間、僕はビルの商業施設を見学しながら一旦部屋に戻ることにした。


まあ見学できなかったとしても、空から見た印象だと、全て大規模に計画された農地がまるで工場のようにオートメーション化されており穀物や作物が栽培されているということは見てとれた。そもそも温暖化により気候に適した作物を効率よく栽培するためにAIによって遺伝子がゲノム編集されて食糧危機に対応できるようなったそうだ。

それが農業の理想系なのか!と実感した。


さて、では、ここの商業施設はどんな感じなのであろうか? 家具類はベーシックで部屋にそもそも組み込まれているのと、使用頻度が低い装飾的なインテリアはホログラムで演出されている。そして服もベーシックウェアは必要ではあるがホログラム化されてファッションを楽しむようになっているし、衣食住の食に関しては、ロンダと同じように、アーティフィシャルな食物がタンパク質・炭水化物・脂肪などにより合成された人造加工食品がメインとなっている。音楽や映像は全てデータ化されサブスクリプションサービスになっているらしいのだがあまり聴いたことはない。では一体何がショップで買えるのだろうか?と不思議であったのだ。機械類のショップはあるものの、基本的に必需品は政府からの配給になっているためショップでは趣味的なものが売られているようだ。ほとんどは趣味性が高いレストランやカフェがメインで、ショップというよりはコミュニティースペースのような出会いの場の役割を担っているのだろう。奥にはワークショップがいくつも開催されており、体験や共有目的で夫婦での参加が目立った。ただ、夫婦オンリーというわけでもなく、同姓数人での参加もあるのだが子供は全く見かけなかった。さらに奥に進んでいくと、子供だけの教室もあり先生らしきロボットが運営するカルチャースクールが見えた。なんとAIが巨大な3Dスクリーンを経由して子供達に教えているのだ。そうか、子供は人工的に孵化及び育成されるため子供だけの社会に混じり大人の人間がマネージメントしながら社会性を教えていく仕組みなんだろう。そして知識的な分野に関してはAIが導入されているのだと思った。 そしてさらに進んでいくと、小ぶりながら家庭用品や食品を扱うスーパーもあった。


僕は一応一通り見て回ってから28階に上がり部屋に戻った。『ここの世界でAndroidに襲われるとは・・・安心できないんだな、この世界は・・・しかしジュリアは一体なんなんだろう? もしかしたら遺伝子操作された人間なのか?それともAndroidなのか? ロボット的なところを感じないわけでもないが、遺伝子操作されたニューヒューマノイドなのであろうか? しかし今日もジュリアに命を助けられた。あのメイルAndroidとやらはあきらかに僕を狙ってきたようだし、そんなにも僕は未来世界では貴重な、いや危険視されるような存在なのだろうか? この世界に住むのと、元の世界に戻るのと、一体どちらが安全なのだろうか? いやどちらが楽しいのであろうか?と考えるべきなのか? 元の世界に戻ったとしても将来なんの保証もないし、就活して果たして今の僕の能力で理想の業界や会社に就職できるのだろうか? しかもその原動力となる具体的な夢もまだ定まってもいない。時代的に人口が多いし厳しい競争社会になっているため、まずは入り口で振るいに掛けられてしまう。それに対してここの社会では逆に人間が足りない。しかし然るべき能力を持った人間でないと受け入れられないと言うことなのだが、代表の話では僕はそれをクリアーしているらしいしのだ・・・この世界にいた方が僕は役立てるのではないか?』と思い始めていた。それとジュリアとも一緒にいられるし、いまだ彼女はカップルという状態を続けてくれている。彼女は僕の趣味に完璧に合った人形のような綺麗な外見と素晴らしい内面も持ち合わせた僕にとってはまさに理想のそして最高の彼女だ。しかし彼女はそもそもどちらの世界に住みたいのだろうか? というより今日のようなメイルAndroidの攻撃はジュリアが危惧しているように今後もやはりあり得るのだろうか? そうなった場合は、僕はやはり消されるまで狙われ続けるのであろうか? 多分そうなんだと思う。でなきゃジュリアがあんなに焦っていないのだろう。僕の世界までは追って来られないのであれば安全面では問題ない。ということは、この世界は仕事も住む所もあるけれど、極めて危ない場所ということになる。と、ごちゃごちゃになった頭で1つづつ整理しようと考えていたが、そもそもこれは本当に現実なのであろうか?とも思い始めてしまった… 実はどこかで夢が覚めたりしないのか? と思ったが、今のところこんなに長い夢もあり得ないだろうという結論に達したのだった。


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