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17/21

17:ソフィアとジュリア

この物語はSFカテゴリーにて投稿中の『光と陰-織りなす夢の形-』のプロローグです。主人公”ヒデ”の視点でソフィアとジュリアのBLANC TWINSが描かれている日記をお楽しみください。


 《あらすじ》

1980年代のある夏の暑い日に偶然上野公園で1人の金髪美女に出会う。まるでアニメフィギュアのような容姿のソフィアにノックアウトされてしまった。生まれて初めて情熱を感じるようになった理屈っぽい性格の大学生のヒデ。そして今までろくに1人で国内旅行もしたこともない彼だが、それがきっかけで夢を探すヨーロッパへの一人旅が始まった。ヨーロッパの国々で過ごすとともに異文化や価値観の違い、また真のライフスタイルというものを実感する事になる。しかし、その先には予想もしていなかったことが起こるのであった。さて異文化の果てとは一体どんなことろなのであろうか?


日本での価値観しか知らないヒデは、スイス・フランス・イギリスと放浪しつつその国のカルチャーや価値観の違いを体感し少しずつ異文化を理解し吸収していく。

そしてその異文化の果てには・・・


その先には驚くべきパラレルワールドがあったのだ。ソフィアとジュリアの謎の双子美人姉妹 Blanc Twins との関係が深まり吸い込まれるようにSF体験をしていくのだが…


モラトリアム期間にいる思春期のヒデは『いったい自分の夢のかたちとはなんなのか?』という問いかけに悩みながら自分なりの将来を模索していく。


荒廃したパラレルワールドを舞台に水陸両用の移動ヴィークルであるホバージェットでヒデと一緒に旅をする美人姉妹の妹ジュリア。彼女と一緒に行く先々で戦いに巻き込まれながら“剣姫ジュリア”に惹かれていく。

そして2人はお互い同じ価値観を持っている事に気が付き愛が芽生えていくのだが…


シャワーを浴び嬉しさを噛み締めながら夜景を見てくつろいでいるところにソフィアから連絡があった。30階のスカイラウンジに8時で予約を取ったから来てくれということである。


僕は数少ない服の中のいつものデニムとカーキシャツに着替えてスカイラウンジの中に入って行った。360度見渡せる展望レストランになっており自動ピアノの演奏が響いていた。すでにソフィアとジュリアがいて手を振って僕を招き入れてくれた。ソフィアはシルバーサテンのタイトなキャミドレスに、髪の毛をいつものようにポニーテールでまとめていた。ジュリアはベビーブルーシフォンのベアトップアイラインドレスを着ていた。2人ともまるでスポットライトがあたっているかのように目立ってとても綺麗だった。


「ワーオ 2人ともすごく綺麗だねー!! ここは正装だったの?」と驚いた。「そういうわけじゃないわよ。私も遅ればせながらヒデの気を引きたいから、もう付き合っているらしいジュリアからチャンスをもらったの。」とソフィアが悪戯っぽく答えた。「私もヒデと一緒に時間を過ごしたかったんだけど、こっちの仕事があったからゴメンね・・・今から埋め合わせしたいの。ここは夜景が綺麗だからヒデにも一度見てもらいたかったから・・・カクテルだけ飲んで、もしヒデが良ければ、ここからケータリング頼んでヒデの部屋で無事到着パーティーで盛り上がらない?」という驚きの提案があったのだ。「へー面白そうだね! 確かに僕たち命懸けだったから、ソフィアにお祝いしてもらってもいいよね! ねえ、ジュリア? わかった。そうしようよ!」とまとまり、僕たちはまずカクテルを飲みながら日本のキャピタルの夜景を鑑賞した。沢山のドローンが飛び回っておりまるで蛍のようで綺麗だった。暫くすると、ウエイターが「ソフィア様、ご用意できました。』と告げにきた。「じゃヒデのお部屋に行きましょうか!」と僕が真ん中で彼女達が腕を組んで僕を挟み、まさに『両手に花』の状態であった。この世界はいいよな!!帰りたくないなと強く思った。


3人で部屋に入りあの大きなソファーに落ち着いた頃、チャイムが鳴りパーティーディナーがワゴンで運ばれてきた。この世界のシャンパンらしきものも用意されており、食事は中華に似た天心のような小皿で摘めるように揃えられていた。どれも美味しそうで見た目も美しく気が利いていて素晴らしい!。僕がシャンパンをポーンと開けて「ソフィア!ジュリア! 今日はありがとう!! 2人とも大好きだよ!」と言いながらグラスに注ぎ3人で乾杯した。しかしこの部屋の雰囲気も最高だし、そこに美人姉妹がいて2人とも僕が好きだと言ってくれている。これはまるで夢の中のような話だが、まあ夢であってもこのひと時を楽しもうと思った。そして僕は3人がけソファの真ん中に2人に挟まれて座った。美味しそうなディッシュを摘んで呑みながら、今回の長旅の話で盛り上がっていた。「僕ももちろん君たち2人とも大好きなんだけど、でも、なんでそんなに僕のことを好きと言ってくれるの?」と酔った勢いで疑問を正直にぶつけてみた。「だって、日本で最初に会った時ピンときたのよ。この子可愛い!と思ったわ。また会いたいからスイスの住所を教えたのよ。私だって誰にでもするわけじゃないからね!」とソフィアが。『やっぱり、ソフィアとしても可愛いということなのか!?』 するとジュリアが「私は最初はソフィアの子だから遠慮してたんだけど、2人だけで冒険している間、気も合うし私もやっぱり可愛いと思ったの。ずっと一緒にいたいと思ったわ。」と。やはりツインズだからなのか趣味が同じようである。「2人ともありがとう!! そんなに僕は可愛いんだね!?」とテディベアになったような気持ちになり照れながら苦笑いした。そんな2人の雰囲気に押されて「じゃー2人と付き合っちゃおうかな?」とこれも酔った勢いで大胆にも笑いながら言っている自分がいた。2人はお互いを見て一瞬沈黙があった。そして流石に双子だと思った瞬間であるが、丁度同時に「それ、いいわね!」とお揃いで言ったのだった。「じゃ決まりだね!2人ともこれからよろしくね! でもそのうち僕の世界に戻らなくちゃならないんだけど・・・」すると「私たちも暫くここにいるから、ヒデも一緒に居れば! 私達が戻るときに一緒に戻ればいいんじゃない?」と返ってきた。「でも家族に連絡できないと捜索願が出ちゃうよ。どうしたらいいのかな?」と考え込んでいた。するとジュリアが、話を変えて「明日はソフィアが忙しいから、私がヒデが見たいと言ってたオートメーション化された農場を案内できるわよ! 申請もしておいたから。」と言ってきた。「本当?  じゃジュリア、明日は案内お願いしますね!」と答えた。


そして帰りたくなった時の話になった。スペインまでの帰路は日本政府が持つカーゴジェットでホバージェットごと半日あれば運んでくれるらしいのだ。そしてかなり高い位置を飛行するから対空兵器などでは狙えないため脅威はないそうだ。でも一体これからどうしたらいいのであろうか? 予定どおりに僕らの世界に戻るべきか? それとも誘惑に負けてこの世界に残るべきなのか? しかしこの酒強いな。一体アルコールは何パーセントなんだろう? 2杯ぐらい飲んだだけなんだけど、なんか意識が朦朧としてきてしまった。2人が話していることが夢の世界で起こっている出来事のような感じに聞こえてきている。そしてその後は記憶の断片しかなく、3人でキングサイズのベッドに横になり…までは記憶があったが、そのあとは全く覚えていなかったのだ。そして起きたら朝になっていたのだった。


2人も僕と同じようにまだ横になって寝ていた。一体僕らは何をしていたのだろうか? ソフィアもジュリアもドレスを脱いだ寝姿がまるで人形のようにとても綺麗だった。そしてこんな2人の女性と一緒に生活できたら本当に幸せだろうなとも思った。しばらく絵画を鑑賞するように彼女らを眺めているとまずジュリアが起きた。「おはよう! 記憶が全くないんだけど、僕らは一体何をしたの?」、「覚えてないの? 3人で凄く楽しかったわよ!」と少し恥ずかしがっていた。「もう8時なのね!?じゃヒデ、ソフィアはほっといて準備して出かけましょう!」と言いながら、この部屋にあるコーヒーを沸かしてラスクを用意してくれた。そして2人でシャワーも浴び、着替えて部屋を出た。ただジュリアはまだドレス姿だったので、まずは彼女の部屋に寄った。


彼女の部屋のインテリアは僕の部屋とは全く違っていた。ホワイトとアルミのシンプルでニートな空間なのだ。「部屋は1つ1つ違うんだね?」と。「そうよ、AIがプロファイリングしてその住人の趣味に合わせるの。」、「そうなの? でも僕の趣味はわからないと思うんだけど・・・すごく好きな部屋だったよ。」、「遺伝子に基づいて事前にリサーチされてるのよ。」、「えー そうなんだ!?」と驚いた。遺伝子により趣味性もわかるのか? 「それとこのインテリアの装飾部分は立体のポログラムみたいなもので変えられるのよ!」と教えてくれた。立体のホロ? 僕の頭では理解が追いつかなかった。白いソファに座って待っているとジュリアが着替えてウォークインクローゼットから戻ってきた。アイスブルーのボーイフレンドデニムにホワイトシャツブラウスをブラウジングインして、シルバーメッシュのベルトをしていた。「どお?」と聞かれた。「すごく似合うよ!」と答えると、「この服もホログラムなのよ。日本では一般的なの。」と。なるほど、長さのバリエーションがあるベーススーツを上下着て、その部分が好みに合わせてホログラムになる仕組みなのだ。手で触ると部分的に消えるのでホロだとわかるが、見た目は本物そっくりで区別がつかないほど立体的にできている。なるほど、これがあれば服は作らなくても良くなるんだな。まさにパーソナルオーダーメイドのファッションを身に纏う世界なのだ。僕的には服の素材の肌感なんかも好きだから少し寂しい気がするが、もしかしたら、アパレル産業が何かの理由で成り立たなくなってしまったのかもしれないとも思った。


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