幽霊の視点から見た世界の真実
我々は、幽霊という存在に対して、恐怖や畏怖を抱きがちである。
それは、ホラー作品や都市伝説によって植え付けられたイメージ、あるいは未知なるものに対する人間の根源的な不安がそうさせるのかもしれない。
しかし、もし私たちが幽霊の立場に立って、この状況を客観的に眺めることができれば、果たして恐怖を感じる対象は誰なのだろうか?
今回は私の幽霊論考とは違う形で幽霊に対しての恐怖心を和らげる方法を語る。
ある小さな村に、幽霊が出ると噂されていた。
村を訪れる人々は、幽霊の姿を一目見ようと、あるいはその恐怖を体験しようと、村へと足を運んだ。
噂はますます広がり、「幽霊の数は10体以上いる」「幽霊を見たらカップルは別れる」など、様々な逸話が生まれ、村は幽霊観光地として賑わいをみせていた。
しかし、幽霊たちは、ただそこに存在しているだけだった。
彼らは、ただ静かに、村を見守り続けている。
人間たちの悲鳴や恐怖の叫び声は、幽霊たちにとっては、理解しがたいものであった。
ある日、この村にやってきた小説家は、幽霊たちの視点からこの状況を捉えようとした。
彼は、幽霊になったつもりで、人間たちの行動を観察した。
そして、幽霊たちが感じているのは、孤独と寂しさ、そして人間たちの無理解ではないかと考えた。
小説家は、幽霊は悪意を持って人間を怖がらせようとしているのではない、単に存在しているだけなのだ、ということに気づいた。
人間こそが、自分の想像力によって恐怖を作り出し、幽霊を悪者にしていたのではないだろうか?
幽霊に対する恐怖は、人間が作り出した物語や想像力によって増幅されている側面がある。
幽霊は、ただそこに存在しているだけであり、人間を積極的に怖がらせようとしているわけではない。
恐怖を感じる対象は、むしろ幽霊ではなく、自分自身の心なのかもしれない。
幽霊の立場に立って物事を考えることで、恐怖心は和らぎ、共感や理解へとつながる可能性がある。