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白百合の祝福24

私たちも付いて行って良いですか?」


「ああ、付いて来い」


 私たちは揃って部屋を出ると、そのまま軍司令部へと向かった。


騎士団を含む、軍を統括するのは軍司令部であり、そこのトップはロンデル元帥


かつてゼナおばさんや母の上司であった人である。


ゼナおばさんは今回の事情の説明を求めるため、ロンデル元帥に会いに行くと


軍司令部の部屋の前に、一人の男が経っているのが目に入ってくる。


2m近い身長に、筋骨隆々の体、額にある大きな傷が歴戦の猛者であることを窺わせた。


この男は帝国三大騎士団の一つである猛虎騎士団の団長、ガバルディである。


「おやおや、これは、これは。ゼナ白百合騎士団長様ではないですか。国民的英雄様が何用ですかな?」


 こちらに気づいたガバルディは、ニヤニヤと含みのある笑みを浮かべながら


わざと大げさな物言いで、嘲るように話しかけてきた。


「私はロンデル元帥閣下に話があるのだ、貴様に用はない」


 強い口調でキッパリと言い切るが、ガバルディは大げさに首をすくめ、おどけたような仕草を見せると


相変わらずの薄ら笑いを浮かべていた。


そもそもこのガバルディ率いる猛虎騎士団と白百合騎士団、そして金獅子騎士団は、非常に仲が悪い。


その理由は、団員構成の違いに原因があると言われている。


貴族出身者が多く、正統派の剣士が多い金獅子騎士団に比べ


庶民出身者が多く、実戦派の団員が多い猛虎騎士団。


〈強い者であれば、その他の事は一切問わない〉というコンセプトを元に


ガバルディ自ら集めた、勇猛な戦士達なのである。


団員の多くは気が荒く、粗暴で残忍な者ばかりで、騎士というよりも、ならず者集団と言った方がしっくりくるほどだ。


それ故に戦場でのいき過ぎた行為や、街中での暴力行為、問題行動も多く、市民からの苦情も絶えない。


そんな問題集団とも言える存在なので、軍司令部も頭を抱えているのだが


その戦闘力の高さから、色々な問題を起こしても、黙認されてきたのである。


そんな連中だから、金獅子騎士団のことは〈おぼっちゃま集団〉と鼻で笑い


白百合騎士団に至っては〈女のおままごと〉と心底馬鹿にしていた。


だがその自信を裏付けるように、戦場においては三大騎士団の中で最も実績を上げており


その勇猛さは他国にも知れ渡っている。


特に騎士団長のガバルディは前回の【大聖剣舞祭】の準優勝者であり


シュナウゼルと唯一まともに戦えたほどの猛者なのである。


「元帥に面会であれば、まずは手続きを踏んで、許可を取っていただきたいものですな」


「緊急の要件だ、そこを退け」


「いくら国の英雄とはいえ規則は規則、きちんと守ってもらわねば、皆に示しがつきません


もう一度出直してきてくださいや」


 まるで楽しむかごとく、愉悦混じりの笑みを浮かべながら要求を跳ね除ける。


逆にゼナおばさんは苛立ちを隠しきれない様子だ。


そもそも普段から、横暴のかぎりを尽くしている猛虎騎士団のトップが


どの口で〈規則は守れ〉などと言っているのか、【盗人猛々しい】とはこの事だろう。


「今までも、緊急の事態には、元帥に直接面会できたはずだ、それをどうして今更……」


「今までは今まで、今後からはきちんと手順を踏んでくださいな」


 まるで取り付く島もないガバルディに対し、もはや交渉は無駄だと悟ったゼナおばさんは


クルリと背中を向け、別の場所に向かおうとする。


「わかった、では、宰相閣下に元帥への面会を申請し、許可をもらって来る、それならば問題ないのだろう?」


「ええ、もちろんです。ですが、宰相閣下は本日ご病気の様子、職務の遂行は無理だと思われますが」


 嬉しそうににやけながら、終始、どこか小馬鹿にしているような口調で話してくる。


「ならば国王陛下に、直接許可をもらって来るとしよう」


 苛立ちを抑えきれないながらも、毅然とした態度を崩さない、この姿勢はさすがといえる。


「いや、それも無理ですな。国王陛下も本日はご病気のはず、回復を願って待つ事ですな」


「はあ?宰相閣下も国王陛下もご病気だと?そんな偶然があるのか」


 不信感をつのらせ、詰問するように問いかけるが


ガバルディはどこ吹く風とばかりに、終始うすら笑いを浮かべている。


「流行病でも蔓延しているのですかな、ゼナ様もどうかお気をつけくださいな」


 心にもない言葉をかけられ、思わず拳を握りしめるゼナおばさん。


これ以上は話しても無駄だ、と諦め、急いで面会の申請書を作成し、正式な手続きをふんで軍司令部に提出しのだが


【国王陛下、宰相閣下、両名供にご病気の為、面会不可】という返答が返ってきたのである。


「何がどうなっているのだ、一体何が起きている……」


 激しく机を叩き、いら立ちをぶつけるゼナおばさん。


私たちも何が起きているのか、さっぱりわからず困惑するばかりだった。


そんな時、部屋のドアが激しく開き、慌てた様子のべゼッタ部隊長が入ってきた。


「大変です騎士団長、今、内閣府にいる妹から情報が入ったのですが


騎士団長をはじめ、白百合騎士団に謀反の容疑がかけられていているとのこと


近々審問会が開かれるらしいです」


「はあ?我々に謀反だと、何だ、それは‼」


 全く身に覚えのない容疑で審問会にかけられると聞かされ、珍しく動揺する。


「馬鹿馬鹿しい、荒唐無稽もいいところだ、一体誰がそんなデタラメを……」


 その瞬間、ゼナおばさんは何かに気づいたのか、ハッとしたように両目を見開いた。


「ラウンデル支部長の失踪に、国王陛下と宰相閣下の急病


金獅子騎士団の遠征に、白百合への謀反疑惑、まさかこれは……」


 情況を整理するかのように、ブツブツと独り言をつぶやいていたが


突然立ち上がり、ベゼッタ部隊長に命令を言い渡す。


「べゼッタ、白百合の団員達に通達。全員馬に騎乗し、第一次戦闘装備で訓練場に集合だ、大至急だ、急げ‼」


 普段冷静なゼナおばさんが、ひどく慌てた様子で命令を下す


一瞬呆気に取られるベゼッタ部隊長だったが、ただならぬ気配を感じ取ったのだろう、すぐさま直立し返事を返す。


「了解いたしました、団員には大至急集合をかけます」


 そう言い残し、ベゼッタ部隊長は足早に立ち去った。その背中を見送った後


もう一度机に座ると、何かメモのような紙に走り書きをした


そしてそのメモを伝書鳩の足にくくりつけ、窓から放った。


放たれた鳩は、解放された喜びを全身で表現するがごとく、翼を目一杯広げ大空へと旅立つ


あっという間にその姿が見えなくなると窓を閉め、再び険しい表情を浮かべながら


右の拳を思い切り壁に叩きつけたのである。


「あのゲスが……」


 声を震わせながら悔しそうな口調でそう言い放つ。


何が起きているのか、さっぱりわからない私とエレナ先輩は、呆然と立ちすくんでいたのだが


その尋常ではない様子を見て、何か大変な事が起きていることだけは理解できた。


「ゼナおばさ……いえ、騎士団長、一体何が起きているのですか?」


するとゼナおばさんは吐き捨てる様に言った。


「ガバルディのゲス野郎が、国王陛下と宰相閣下を監禁し


その名前を使って自分のいいよう権力をふるい命令を出している」


「えっ、それってまさか……」


「ああ、軍事クーデターだ」


頑張って毎日投稿する予定です。少しでも〈面白い〉〈続きが読みたい〉と思ってくれたならブックマーク登録と本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです、ものすごく励みになります、よろしくお願いします。

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