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女聖騎士でしたが魔王の娘によって暗黒騎士にされてしまいました  作者: ヘラジカ
第十章:魔侯ライト・ヌーム

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10-2:爵位の贈呈

 魔王の娘の魔法で再び中央へとやって来た。


「とうちゃーく! だけど、今回は城で用事を済ませたら帰ろっか」

「あの、お城では何を……?」

「儀式だって。長兄、こういうところは生真面目だから」


 用事は分かっている。

 まさか、本当に私に侯爵の地位にを授けるとは。

 適当な約束だと半分どころか八割くらい思っていたのに。


「エイラムさん、今回も他の兄姉は……来るんだよなあ?」

「反対の兄姉(ひと)は集合って事になっているから、来ないと思うよ」

「そ、そうか。頼むから穏便に済んでくれ」


 町長の息子の質問に対する魔王の娘の答えで何となく分かった。

 結局は、ここで反対されて有耶無耶のまま終わりそうだ。


 元より期待はしていなかった。

 ただ、復讐のついでに貰えるならばと思っていただけ。

 権力には元より興味は無いし、得る事で町を守れるならと考えていた程度。


 魔王の娘には申し訳ないけれど、仕方がない。

 他の魔族との交渉になると、彼女は何処か抜けている気がする。

 町の運営はそれなりに頭脳明晰だと思うのだけど。


 計画が崩れて魔王の娘が落ち込むかもしれない。

 そんな事を思いながら、私たちは歩み進めた。




 程なくして城の前に着く。

 以前と同じように門番たちは私たちに対して怯えている。

 やはり、国が内部から魔王の手に落ちたのは受け入れ辛いのだろう。


「では、王の間までご案内致します」


 城のメイドが私たちを案内するが……。

 今日は王の間。

 前回と違って、いよいよの場所だ。


「お、王の間って事は、国王様? 魔王様? いや、この前の長男のお兄さん?」

「そんなに緊張しなくていいよ、アイスくん。お父様は地上には来ていないはずだから」

「そ、そうなんだ」

「大丈夫です、アイス殿。私が、付いています」

「あ、ありがとうございます。ライト様」


 町長の息子程ではないが、私だって不安だ。

 この前と同じなら、中央を担当する魔族の長兄がいるのだろう。


 しかし、そうなると国王を何処に?

 興味はないけど気にはなる。


「では、どうぞ。皆様、お待ちになっております」


 メイドが王の間の扉を開ける。

 玉座には誰も座っていない……が、奥の方に魔族の長兄が。

 それと委縮している人間の姿も見える。


 そして、私が思った通りだ。

 部屋の手前には3、4人の魔族の姿が見える。

 彼らが私が侯爵になる事を反対するに違いない。


 しかも、その内の一人は、森にいたあの魔族。

 ここでもまた……いや、あの夜の事はあまり思い出したくない。


「よお、待ってたぞエイラム」

「トット兄、もしかして私の邪魔をしようっていうの!?」


 魔王の娘の気配が荒々しいものに変わる。

 ここで喧嘩が始まってしまうのか?

 私では手も足もでないし、何より町長の息子が危ない。


 どうしよう?

 今すぐ町長の息子を連れて離脱するべきか!?


 だが、そんな心配も空しく、魔族たちが口を開いた。


「そんなわけあるか。俺たちと違ってちゃんと贈呈式やるのが羨ましくて冷やかしに来たんだ」

「爵位の贈呈なんて物珍しいからな。見学させろ」

「まあ、暇だったし」

「可愛い妹の姿を見に来ただけなのに、そんな言い方はないでしょ」


 八人全員ではなく、半数なのはそういう事か。

 つまり、暇つぶしに見に来たと。

 しかし、それでは本当に私が侯爵に!?


「では、贈呈式を始めてよいかな? そこにいる、この国の国王とエイラムが連れて来た小僧が人間側の証人だ」


 魔族の長兄のその言葉で、初めてそこにいる肩身の狭そうな人間が国王の成れの果てだと知る。


「長兄、何でそこの玉座に座ってないの?」

「そこは、父上の席だ。私が座れるか!」

「もう、変なところで真面目なんだから」

「うるさい、さっさと始めるぞ。では、エイラムに暗黒騎士、前へ」


 私は兜を脱ぐ。

 そして魔王の娘と一緒に、言われた通り玉座の方へと近づいた。


「では、そこの暗黒騎士の働きを認め、魔王の娘エイラムの懇願により、我が父である魔王の代役として私が暗黒騎士に魔侯の爵位を贈呈しよう」

「あ、あの。そういう時は贈呈する相手の名を呼ぶべきでは?」


 魔族の長兄にそう進言したのは、人間の国王であった。

 そして、それに対して怒る事もなく、魔族の長兄は続けてこう言った。


「ええと、暗黒騎士。名乗ってみよ」

「は、はい。ライト・ヌームです」

「よろしい。では、改めて。ライト・ヌーム、其方に魔侯の爵位を贈呈する。我が妹、魔公エイラムの補佐として働くがよい」

「謹んで、お受け致します」


『魔侯』というのが少し気になるが、多分『魔公』に対しての事だろう。

 要するに、魔王の娘の補佐をするために魔王の娘とほぼ同等の権限を与えられたと。


「本来ならば、この程度の仕事で与えるようなものではないのだがな、エイラムの頼みである上に、つい先日も勇者を倒すという偉業を成し遂げた故だ。特別だという事をよく覚えておくように」


 妙に素直だと思ったら、魔王の娘の働きが認められたという事か。

 そうでなくても、何となくではあるが妹には甘いのかもしれない。


「うーん、本当はアイスくんに爵位を与えてほしかったのにーー!」

「何度も言っているだろ、それは駄目だと」

「ぶーーーー!」


 でもまあ、締めるところは締めているのかな?


「ところで、爵位の印とかの贈呈はないの?」

「必要なら勝手に作っていいぞ」

「──長兄は用意してくれないの?」

「デザインを考えるのが面倒だ。父上も各々にやり方は任せると言ったからな」


 侯爵の印?

 よく分からないが、紋章くらいはあった方が分かり易いか。


「とにかく、これで終わりだ。下がっていいぞ」

「えーーこれだけーー? 来て損した」

「まったく、こういうのは形が大切なのだ」


 終わってみれば大した事はなかった。

 いや、魔族たちに囲まれる経験はキツい。

 特に中央担当の魔族に睨まれながらは緊張もする。


「何!? この後にメシは出ないのか!?」

「思っていたより退屈だったな」

「……帰るか」

「エイラムちゃん、またね。偶には私のところに遊びに来てもいいから」


 参列していた他の魔族たちも帰って行く。


「それじゃあ、私たちも帰ろっか」


 儀式はあっけなく終わってしまい、私たちも帰還した。


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