8-5:エルフの拠点を襲います
エルフの拠点となる集落が露わになった。
その突然の出来事に、集落内のエルフたちは騒ぎ始めた。
「まさか、結界が壊れた……?」
「馬鹿な!? 一体誰が……?」
「な、何かが大勢──ドワーフだ! ドワーフが攻めて来たぞ!!」
エルフたちは、我々の中でも数が多いドワーフの存在に真っ先に気付いた様だ。
大半のエルフは、慌ててその場を離脱した。
装備を整えるためか?
あるいは逃げ出すためかは分からない。
しかし、二割程のエルフたちはドワーフたちに向けて光弾の魔法を放つ。
「おのれドワーフ!」
「返り討ちにしてくれる!」
エルフたちの攻撃に対し、ドワーフたちは各々の装備で対処を始めるが──
まずは、あのエルフたちから殺そう。
私は剣を抜き、エルフたちに襲い掛かった。
暗黒騎士である私がエルフたちに向かって走る。
そのタイミングで、ドワーフを攻撃していたエルフたちは、私の存在に気付いた。
「何だアレは? ドワーフではないぞ」
「人間……? ヤバい、こっちに向かって来る!」
「と、とにかく攻撃だ!」
私は、向かってきた光弾の魔法の幾つかを剣で跳ね返す。
剣でさばき切れなかった分は鎧で受けたが、大した事はない。
これならば!
私の剣がエルフたちにとどく。
「ぐは……お、おのれェ……」
「なにも……の……」
私の剣で切り裂かれたエルフたちは倒れた。
多分、死んだのだと思う。
しかし、悲鳴の一つも上げず、言葉だけを残すところが何とも気持ち悪い。
人間ではない存在だという事がよく分かった瞬間だった。
本当に死んでいるのだろか?
そう思った時、殺したエルフの顔が醜いものへと変貌した。
白く艶やかな美形の顔が、見る見るうちに緑色の木の様にごつごつとした顔に変わる。
これが、エルフの正体なのか……?
なんと醜い。
私は外見で優劣を判断する気はないけれど……。
単純にエルフを殺さない理由が一つ減ったと感じた。
多分、魔法で誤魔化していた外見が死んで露見したのだと思う。
とにかく、これでエルフたちの死亡が確認できるわけだ。
「(ハハハ、やったぞ! エルフを殺したぞ、もう一人の私)」
「(ああっ……何て事……何て事を!)」
「(もっと喜べ。私を、聖騎士を散々いい様に使ってきた連中だ)」
私の中にいるもう一人の私に話しかけてみたが、相変わらず嘆くだけ。
エルフを殺せば何かが変わるかとも期待したが、聖騎士団を滅ぼした時と変わりそうにない。
説得を続けようかと思ったが、今は時間が無さそうだ。
武器や防具を身に着けた、エルフたちがやって来るのが見える。
「いたぞ、あんなにいるとは!」
「ドワーフ共めが、絶対に守り切ってみせる!」
先程、離脱したエルフたちが装備を整えて戻ってきた。
ここからがエルフとドワーフたちの本格的な戦いになるだろう。
──だが。
私は、エルフたちの相手を可能な限り行った。
ドワーフたちに向かって来るエルフたちを次々を切り殺す。
私に対して向かって来るエルフたちを切り殺す。
そして、ドワーフたちを狙う弓攻撃を可能な限り剣で受ける。
更に、私がエルフたちの注意を引き付ける間に、ドワーフたちが動いた。
遠距離から弓で攻撃しているエルフを倒す。
隠れているエルフを発見次第殺す。
そして、逃げているエルフを可能な限り殺す。
こうして、暗黒騎士である私とドワーフたちの活躍により、拠点のエルフたちは全滅した。
「やった!」
「遂に、悲願であったエルフたちへの復讐を果たしたぞ!」
「うおおおお!!」
ドワーフたちが勝どきを上げて喜ぶ。
悲願と言うだけあって、その達成はさぞかし嬉しいのだろう。
私にも達成感が無いわけではない。
しかし「まだ一つ」だ。
エルフの拠点はまだまだあるし、それらも潰さないと。




