8-3:ファストトラベル開通
聖騎士の男が陥落したおかげで、その後の村人たちの説得も上手くいった。
説得というか、殆ど諦めなのだが。
「へえ、あんたダンジョンが出現した町の人間なのか」
「そうか、既に中央も魔王の手の内に……」
「ダンジョンと魔王にそんな関係が……あんたたちも苦渋の決断だっただろうに」
町長の息子が、ダンジョンの秘密を話す事で村人たちも理解したみたいだ。
「しかし、どうやってこの村を──いや、エルフの集落を探り当てたのだ?」
「あんたも魔族たちに連れられて怖かっただろうに」
村人たちが町長の息子に質問を投げかける。
やはり、エルフたちの居場所がバレたのが気になっているようだ。
そして、町長の息子は村人たちの疑問に答えた。
「ははは、魔族は魔王の娘であるエイラムさん一人だけです」
「では、あの暗黒騎士は?」
「紹介しましょう」
私は空気を読んで兜を脱ぎ、村人たちに顔を見せた。
「彼女は元聖騎士の人間。聖騎士団に裏切られたところを魔王側に引き入れられました」
町長の息子が言ったのは本当の事。
聖騎士団に捨て駒にされて、殺される運命だった私を助けてくれたのだ。
だが、村人たちからすれば私はむしろ裏切り者。
そんな私に、彼らは動揺しないだろうか?
「そうか、騎士様も俺たちを助けるために」
「殺すつもりならば、さっきの聖騎士だって助けずに殺していたはずだ」
アレを殺さなかったのは、単に殺す価値もなかっただけ。
加えて、町長の息子の目の前で少しカッコいいところを見せたかった。
だが、その事が交渉を良い方向に進めているのならば、幸いである。
「お待たせー。これで、この村に転移魔法で移動できるようになったよ」
これで、野宿や外泊をせずに町へと無事帰る事ができる。
「これで何時でも攻められるけど、今日は一旦帰って休んで明日以降かな?」
「できれば早い方がいいと思います。余り日数が経過すると、エルフ側もこの村の動きに勘づくでしょうし」
「私はどっちでもいいけれど、暗黒騎士がそう言うのなら早い方がいいかな? でも、万全の体調で挑まなきゃダメだよ?」
分かっている。
今すぐに行くというのは流石に慢心が過ぎると思う。
でも、今夜一晩休めば大丈夫なはず。
それに、ドワーフたちも参加する。
既に準備は進めているはずだけど、流石に今から急には厳しいだろう。
だから、明日が一番いいはず。
「では、明日攻めましょう。エルフの集落までの道案内は私が引き続き」
「オッケー。それじゃあ、明日に供えて今日はもう帰還しようか」




