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女聖騎士でしたが魔王の娘によって暗黒騎士にされてしまいました  作者: ヘラジカ
第七章:魔公トット

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7-3:実力の披露

 ダンジョンに入った私たちは、とりあえず歩き回る事にした。


 暗黒騎士の私が先頭を歩き、向かって来るモンスターを撃破。

 その道中で町長の息子がマッピングによる地図の作成。

 後ろには魔王の娘が控えていて、急襲してきたモンスターの対処。


 前後で挟んで町長の息子を守りつつ、マッピングで迷わない様に着実に進む。


 で、魔族の男はというと、前衛で私の戦いを見ている。

 そもそもが私の実力を確かめるのが目的だから、そうしているのだろう。


 特に戦う様子もなく、時々攻撃が飛んできても器用に避けている。


「このまま行けるところまで行こう!」


 魔王の娘が張り切って、こんな事を言った。

 しかし、魔族の男は困った様子で。


「おいおい、行くにしても第二階層程度で十分だって」

「何言ってんの? うちの暗黒騎士の実力はそんなもんじゃないんだよ」


 とりあえず、今は第一階層のモンスターを一撃で楽に倒している状態。

 装備が強過ぎるせいもあるけれど、特に変哲もない弱いモンスターだ。

 はっきり言って、張り合いがない。


 今の私の実力であれば十分楽に倒せるモンスターたち。

 私でなくても、少し慣れた冒険者ならば楽々と倒してしまうはず。


 魔族の男は、まさかこの程度で満足していまっているのか?

 魔王の娘でなくとも、もっと先へと進みたくもなる。






 第八階層に入ると、急にダンジョンとしての密度が下がった感じがした。


「トット兄、この階層まだ未完成だよ」

「利用客がいないからな。急ぐ必要もないから、こうなっている」


 ダンジョンの深いところに入られたく無かった理由がこれか。


 とりあえず通路があるものの、部屋となる空間が殆どない。

 それでも、一応はモンスターがいるので倒しているわけだが。


 ──これ以上、これを続ける意味はあるのだろうか?


「ああ、もう飽きた。さっさと帰ろうぜ!」

「うちの暗黒騎士の実力、十分伝わった?」

「伝わったも何も第一階層で戦っていたので十分だっつーの」

「えーっ、そこで満足しちゃったの?」


 元より、第一階層で満足していた様に見えていたが。


 しかし、魔王の娘の気持ちもよく分かる。

 この装備の実力を見せるには、今いる第八階層でも足りない。

 なのに、ここで止めると言われると私だって不完全燃焼。


 ──分かっている。


 このダンジョンは未完成。

 だから、これ以上のモンスターは望めない。

 やる事が無ければ帰る他ないのだ。


「よし、そこの暗黒騎士」

「……何か?」

「あそこの床を踏め。罠ではない。いや、厳密に言うと一種の罠かもしれんが、害を及ぼすようなものじゃない」


 小さな部屋になっているフロアの真ん中に、色の違うタイルの床がある。

 魔族の男が踏めという事は、この床を踏めば何かしらの装置が作動するという事。


 ──はっきり言って不安。

 ではあるものの、踏まないわけにもいかない。


 私は、魔族の男に言われた通り、その床を踏んだ。




 ────?


 次の瞬間、気が付いたら地上にいた。

 辺りを見回すと森の中。

 そして、ダンジョンの入口が見える。


 どうやら、ダンジョンの外に出てしまったようだ。

 しかし、どうやって……?


 少し考えていると魔族の男が現れ、次いで町長の息子と魔王の娘がやってきた。


「トット兄、これって転送のトラップ?」

「ハハハ、そうだ。こうやってダンジョンの途中から一瞬で出られると便利だからな」

「それじゃあ、ダンジョンで地上の人間たちを鍛える効果が半減だと思うんだけど」

「そうか? それよりも便利な方がいいと思うんだがなあ」


 魔王の娘と魔族の男は、ダンジョンの方向性の違いで言い争っているのだろうか?

 同じ魔王の子供でも一枚岩ではなく、兄妹で方針が違うようだ。

 魔王の意思よりも魔王の娘の気分次第……か。


 ダンジョンの中から一瞬で外にワープしたのも、魔王側の技術なら納得が行く。

 転移の魔法といい、恐ろしい技術を持っていると改めて思い知らされた。

 このような相手に勝とう考える事自体が間違っているのだと。


「暗黒騎士が戦える事も分かったしな。俺の領内での活動、許可してやるよ」

「あーあ。無駄な時間食っちゃったなあ」

「なんだと! 折角、許可してやったのに」


 さっきから争ってばかりだけど……。

 でも、兄妹だけあって魔王の娘たちは仲はいいのか?


「ああもう、悪かったよ、実力を疑うなんて真似して。お詫びに飯でも食っていけ」

「しょうがないなあ。今日はもう出発するには遅いし、食べていこっか」


 ──行動するのは、明日からになりそうだ。


「よし、決まりだな」

「それで、あの町にいいお店でもあるの?」

「待ってろよ。飛びっきりの獲物を捕まえてくるからな」


 そう、言い残して周辺を支配する魔族の男が森の奥に入ってしまった。


「むむむ、まさか料理を自分で作るつもりだったとは……」


 これには、魔王の娘も呆れている。


「うーん、時間かかりそうだし、さっきの町でパンとか買って食べた方がいいかも」


 昼食はまだ食べていない。

 加えて、魔族の男が用意すると言った食事は夕食になりそう。

 なので、魔族の娘の提案には賛成である。


「いいと、思います」

「アイスくんは?」

「勿論つきあう。あの場では言い辛かったが、何食べさせられるかわからないからな」

「うーん、確かにそうかも」


 町長の息子の心配も分かる。

 何にせよ、一度近くの町で食料を調達するのは悪くない。


「それじゃあ、行こっか」

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