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女聖騎士でしたが魔王の娘によって暗黒騎士にされてしまいました  作者: ヘラジカ
第七章:魔公トット

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7-2:他所のダンジョン

「着いたぞ、ここだ」


 私たちは、この地の担当魔族に連れられ、ダンジョンの入口までやって来た。


 私が他の町のダンジョンを見るのはこれが初めての事。

 だから、何が正しいかどうかはわからない。


 魔公トットが担当するダンジョン。

 その入口は放置された廃墟そのもの。

 私たちの町のダンジョンと違って入口周辺を守るような事はない。


 そもそも、このダンジョンには人が出入りしているのだろうか?

 町からも離れているし、利用し難そうではある。


「トット兄、このダンジョンに人入ってる?」

「少なくとも町の奴等は入らないだろうな」

「そうじゃなくて、ダンジョン目当ての冒険者とか来なさそうなんだけど?」


 魔王の娘が当然の疑問を投げかけた。


 この魔族の男、まるでダンジョンを管理する気が無く見える。

 一方の魔王の娘はダンジョンどころか町の運営までやっているというのに。

 まるで真逆。


「エイラム、町の方は見たか?」

「町でトット兄の居場所を教えてもらったんだけど」

「あの町が何の目的で作られたか分かるか?」

「ダンジョン目当ての冒険者たちが集まって……じゃないと思う」


 さっきのあの町。

 特に賑わっている感じはしなかったけれど、特に寂れた感じでもなかった。

 けれど、私ではこれ以上の事は分からない。


「うーん、うーーーん!」


 魔王の娘が両腕を組んでうなりながら考え込んでいる。

 彼女がそうしていると、不意に町長の息子が口を開いた。


「エイラムさん。あの町、妙に錬金術師が住んでいたから、きっと彼女たちの欲しがるものが集まるんじゃあ?」


 ──錬金術師。


 エルフの集落周辺には、密猟者が時々現れていたのを思い出す。


 森の中で取れる植物や、時々発生する魔獣から?ぎ取ったもの。

 錬金術師相手にそういうものが高く売れる。

 それ故に、金目当ての人間が集まるのだ。


 かつて私が聖騎士だった時は、そういった人間を捕まえて処罰した事もあった。


 すると、あの町の錬金術師たちは──。


「あの……エイラムさん。あの町の錬金術師たちは、おそらく森から取れる素材目当てかと」


 私が魔王の娘にそう言うと、魔王の娘は閃いたような顔をした。


「わかった! 森から取れる素材目当ての冒険者の町」

「まあ、そんなところだな」

「魔力が高い場所にある森だから、素材もエルフも集まっているんだと思うよ」

「そこまでは知らないが、それっぽい感じはするな」


 魔王の娘は一応の正解を導き出したはず。

 だが、目の前の魔族の男は何処か満足していない様子であった。


「で、ダンジョンが閑古鳥な理由は分かったか?」

「ほへ? あーっ、そういう事!?」

「どんなに頑張っても、ここのダンジョンに入る奴は余程の物好きだけだ。他に七つもダンジョンがあるのだからな」


 つまり、この町は既に『森』という別の事柄で繁盛している。

 それ故に『ダンジョン』という他のものが入り込む余地がない。


「場所が悪かった。だから、この森そのものをダンジョンに変えられないかと計画中だ」

「そ、そうなんだ……」


 この魔族の男が森に住んでいる理由が何となく分かった瞬間であった。

 だが、理由が分かっただけで、それが魔王的に正しい行いなのかは私には分からない。


 はっきり言って発想が跳躍し過ぎている。

 しかし、それを言ったらダンジョンを出現させる行為そのものが──。

 いや、魔王の娘も若干引いているし、やはり──。


 そんな事を考えていると、魔族の男が話を続けた。


「まあ、人が入っていなくてもこのダンジョン自体はちゃんと機能している。だから、安心して入ってくれ」


 ダンジョンには危険が付き物だと思うのだが。

 それを安心しろと言われると何とも変な気分だ。


 けれどまあ、私たちの町のダンジョンも町長の息子と魔王の娘の三人で何度も入っているし。

 そういう意味では安心というか信頼できて頼もしいかも。


「それじゃあ、行こっか!」


 魔王の娘を先頭に、私たち三人で入ろうとした時。


「ちょっと待て。俺はそこの暗黒騎士の実力が知りたいんだ。だから──」

「何? まさか暗黒騎士とトット兄の二人っきりで入るっていうの?」

「そうだが、何か?」


 二人っきり!?

 相手が魔族とか関係なく、初対面の殿方と二人っきりとか……嫌だなあ。


 私は不意に町長の息子を方を見る。

 彼の姿を見て何処となく安堵を覚え、少し心が落ち着いた。


「トット兄、ダンジョン探索なめてるでしょ?」

「ちょっと入るだけだし」

「そんな浅い階層で私たちの実力が計れると思うの?」

「わかったわかった。全員でいいよもう」


 ──よかった。


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