6-4:一つ目の場所
「ふーん、エルフって聖騎士団をそんな風に使っていたんだ」
エルフに関する話をした私に対し、魔王の娘はそう感想を漏らした。
私が知るエルフに関する知識は聖騎士団時代のもの。
だから、必然的に聖騎士団とエルフの関係になってしまう。
目当ての情報だったのだろうか?
本当はもっと別の事が知りたかったのかもしれない。
けれど、私が知っている情報は限定的なもの。
「──すみません、お役に立てそうになくて」
「ううん、そんな事ないよ。森の奥の魔獣も、魔力の濃い場所から生まれたのだと思うし」
──そうだったのか。
けれど、それが一体何の役に……?
「エルフはきっと、森の中でも魔力が湧き出る様な場所に住んで、守っているんだと思うよ」
成る程。
エルフには、そういう危ない場所に人間が近づかない様に守っていた善いもの。
それと同時に、魔力による恩恵を寡占していた悪しきものの側面があるのか。
「森の奥に出る魔獣って弱くなかった?」
「弱い……? 確かにダンジョンのモンスターに比べれば……」
「それなら、エルフを滅ぼしても今の人間たちなら支配できそう」
そうか、魔王の娘はエルフの拠点を滅ぼした後の事を……。
エルフがいなくなっても、今の人間たちなら森の魔獣をなんとかできる。
エルフがいなくなれば、森の魔力を人間たちが有効利用できる。
「それで、エルフたちの住処だけど、この辺りにはないよね?」
「その事について、相談しようと思っていました」
私は、魔王の娘にエルフの森が中央を挟んで国の反対側に点在する事。
拠点となるエルフの集落が複数あって、その全てを潰さなければならない事を伝えた。
「結構離れているんだ」
「はい……最初は何処からにしますか?」
「聖騎士の儀式を行ったところでいいんじゃない? 馴染み深いでしょ?」
特に拘りや制約があるわけではない。
魔王の娘の提案通りでいいと思う。
「では……その場所で」
あっさりと決まってしまった。
後は、魔王の娘の魔法を使って、エルフの拠点まで直接移動すれば──。
「この場所なら、トット兄の支配区域が一番近いか」
「──え?」
「何? 転移の魔法だって万能じゃあないんだよ。知らない場所には行けないんだから」
そう、上手くは行かない──か。
「私の魔法で移動できるのは、地上だと他の兄姉のいる場所。ダンジョンの近辺と中央だけなんだよ」
人間からしたら十分に凄い魔法だけれど。
万能というわけではなさそうだ。
仮に万能だとしても、エルフの拠点近くにある人間の集落までは行きたかった。
あそこからエルフの拠点を目指せれば良かったんだけどなあ。
「でしたら、一番近い場所に魔法で移動するしか……」
「そう。だからまずは目的地に一番近いダンジョンに魔法で移動して、そこからは歩きか馬車」
ある程度の旅になってしまうのは仕方ないか。
「エルフの拠点近くの人間の集落まで移動したら、そことこの町を魔法で繋げるよ」
成る程、それなら私たちの町で充分に準備してから行ける。
「つまり、まずは道を繋げて準備をするための旅」
「そうそう。だから、まずは私たち三人で出発して、ドワーフさんたちを呼ぶのはそれから」
三人というのは、私と魔王の娘、それに町長の息子……か。
「まずは、トット兄の町に行って挨拶からかな。周辺に出入りして後々モメても困るし」




