4-3:二つに分かれた心の反発
「へえー。それがライト・ヌーム、貴女の生い立ちなんだ」
「……はい」
私が聖騎士になるまでの大まかな過程の話を、魔王の娘は楽しそうに聞いていた。
そして、彼女は問いかける。
「家の人たちに対して未練はある?」
「いいえ、ヌーム家の人間は私に聖騎士になる事を強要しただけ。私の人生を無茶苦茶にした恨みこそあれど、未練はありません」
元より暗黒騎士となった私が帰れる場所ではない。
しかし、魔王の娘は何故そんな事を……?
「うん、それなら大丈夫だね。聖騎士団が無くなっちゃったら、聖騎士の名門の家も衰退しちゃうけど、いいよね」
──そういう事か。
聖騎士団を潰すという事はヌーム家も完全に終わる。
そうでなくても聖騎士の私がいなくなった今、跡継ぎがいなくて滅びそうだ。
ふふっ、いい気味だな。
「(ああっ、なんて事! 師匠が守ろうとしていたヌーム家が……)」
「(何が守るだ! 何でそんな奴のために私の人生をかけてまで守らなきゃいけないのか!)」
「(師匠に対して失礼過ぎます、この恩知らずが!!)」
「(何が恩知らずだ! 貴女の……聖騎士の方の私の人生はズタボロじゃない!!)」
私の中にいるもう一人……聖騎士の方の私が嘆き悲しむ。
そして、それに対して暗黒騎士の私は感情的に反発し、怒りをぶつけてしまった。
──そうか。
私が暗黒騎士になった時に、どうして心が二つに分かれてしまったのか?
それが今、何となく解った。
私が聖騎士の時に守れなかった未練。
そして、私を聖騎士に縛っていたもの。
それが、未だに私の中に残っていて、暗黒騎士の私に反発しているわけか。
ふふ、ふははははは!
そうか、そうだったのか。
ならば、それを全部潰そうではないか!
そうすれば、この忌々しい聖騎士の私も消えるに違いない!
2つに分かれた私が1つに戻るに違いない!




