4-2:(回想)聖騎士になるまでの生い立ち
私は元々農村の生まれだった……らしい。
普通に生活をして、大人になって結婚をして家庭に入る。
そんな未来もあったかもしれない。
だけど、私が幼い時に聖騎士の才能がある事が分かってしまった。
その過程でどういったやり取りがあったのか幼過ぎてよくわからない。
けれど、そういう理由で聖騎士の名門であるヌーム家の養子になった事だけは確かだ。
私を引き取ったのは、今は亡きヌーム家の先代当主の聖騎士。
子供は何人もいたのに、その全員に聖騎士の才能がなかった。
それで、家を存続させるために私を養子として引き入れる事にしたわけだ。
要するに、繋ぎの存在。
今後、ヌーム家に聖騎士の才能を持つ子供が生まれるまでの繋ぎ。
それが、聖騎士の私……だった。
ヌーム家の養子に入ってからは聖騎士になるための教育を受けさせられた。
というよりは、それが私のかつての日常であり、子供時代の記憶である。
農村にいた頃の記憶は、朧げには覚えている程度しかない。
だから、私は他の聖騎士の家柄の子供と同じ様に生活をしていた。
教養を身に着けるため同じ様に学校に通い──。
技術を身に着けるために同じ様に訓練を受け──。
そうして、私は立派な聖騎士になったわけだ。
子供時代の生活は悪くはなかった。
当時の当主──私の養父である聖騎士のおかげである。
聖騎士のしての技術は同じ聖騎士から習うのが慣例。
私の場合、養父が師匠となった。
だから、私と養父は義理の親子というより、師匠と弟子の関係が強い。
養父はよく言っていた。
「血の繋がらない子供を愛する自信はなかったけれど、弟子は可愛い」
──と。
多分、養父は家の存続のためとはいえ、養子を取るのは心苦しかったのだと思う。
だから、私も養父には師匠として従い、彼もまたそれ応えていた。
こうして、かつての私は当主である聖騎士の愛弟子として、ヌーム家で生活していたわけだ。
しかし、その生活も私が聖騎士団に入って暫くしてから変わる。
ヌーム家の当主である聖騎士が亡くなった。
他に聖騎士がいないので、私が形だけの当主になったわけだが、私は養子の身。
邪魔者ではあるが、排除してはいけない存在として、ヌーム家からの扱いは冷たい。
それでも、既に聖騎士団に入っていた私は、仕事に没頭すれば問題なかった。
当主である私は聖騎士団に所属し、ヌーム家と聖騎士の関係を保つ。
ヌーム家は一族の者たちで勝手に運営する。
そう、私が勇者の逆恨みで左遷され、聖騎士団によって捨て駒にされるまでは。




