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女聖騎士でしたが魔王の娘によって暗黒騎士にされてしまいました  作者: ヘラジカ
第三章:暗黒騎士の誕生

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16/55

3-5:帰宅

 私は魔王の娘、そして町長の息子の三人で、ドワーフたちの居住地を出た。


 まず出口の場所に驚く。

 ダンジョンに裏口なるものがあったなんて。

 しかし、おかげで今日のところは町の衛兵たちと顔を合わせずに済む。


 ──この姿を彼らが見たらどう感じるのだろうか?


 屋敷までの短い道のりで、町長の息子は魔王の娘と楽しそうに会話していた。

 私はその後ろを黙って付いていく形。

 本当はもっと会話したいけれど、暗黒騎士になっても中々そこは上手くいかない。




 屋敷に到着して、私は町長の息子に案内され、宣告通り新しい部屋へと通された。

 そして、屋敷のメイドたちにも暗黒騎士として改めて挨拶される。


「部屋の中に暗黒騎士がいる時は、呼ばれない限り決して入らないように」

「は、はいッ!」


 町長の息子が私に気を使い、メイドたちに約束させる。

 実を言うと、メイドに世話を焼かれるのは若干煩わしくもあったので、丁度良かった。


 一通りの事が終わってメイドたちが部屋から出ていく。

 私は町長の息子と二人きりになった。


「不便でしょうが、我慢してください」

「いいえ、元はと言えば私のせいですし……」


 少しの間、沈黙が走った。


「私が、私がもっと素直になれていれば、こんな事には」

「いえ、私が勇者殺しの事をバレないようにしていれば」


 互いに言葉に詰まる。


「──私が側室で、嫌でしたか?」

「嫌とかそういうのではないです。むしろ、嬉しいです。ですが、突然の事で私がライト様の気持ちにどう応えればいいのか、戸惑っています」


 当然の反応だと思う。


 聖騎士の時の私は、町長の息子に対する好意を隠してきた。

 正確には、そう考えるのは悪だと思い、意識しないようにしてきたわけだ。


 できるだけ立派な聖騎士として虚栄を張ってきた結果である。

 少し優しくされたくらいで好きになってしまう様な、弱いところは見せたくなかった。


 だからこそ、暗黒騎士になった私がいきなり好意を寄せれば戸惑うのも当然。

 今までのイメージが唐突に崩れてしまったのだから。


 けれど、これからはもう隠す必要は無い。

 むしろ、側室という立場になった以上は好意を伝えた方がいいくらいだ。

 そうでないと、町長の息子だってパートナーに好かれないのは辛いだろうし。


 ──いいえ、それは単なる言い訳。

 本当のところはよくわからない。


 私は優しくしてくれる町長の息子を、欲望のまま弄びたい──のかもしれない。


 魔王の娘に言われた通り、私は町長の息子に恋している──のかもしれない。


 しかし、確かな事は一つある。

 私は町長の息子に受け入れてほしい。

 そして、彼にもその気持ちに応えてほしい。


 だから、まずはこう……提案してみた。


「でしたら、私をアイス殿専属の暗黒騎士にしてください。私は騎士としてアイス殿に就くすので、アイス殿はそれに応えれば、と」

「成る程……わかりました。やってみましょう」


 やった、受けてくれた!

 ふふ、これで私は町長の息子の暗黒騎士。


「では、誓いを──」


 私はそう言って町長の息子に近づき、その手を取った。

 すると、町長の息子が何だかドギマギしている様子を見せる。

 それがまた、何とも愛おしい。


 そして、私は誓いの口づけを、町長の息子の手の甲にした。


「今日からは暗黒騎士として、宜しくお願いします」


 互いに顔を見合わせる。

 そして、町長の息子がほほ笑み、私も微笑んだ。


 だが、その時──。


「ちょっと、アイスくん。何時まで暗黒騎士の部屋にいるの?」


 唐突に魔王の娘が部屋へと入って来た。


「もう、今後の事で色々と話とかあるんだからね!」

「わ、わかったよエイラムさん」

「それじゃあ、アイスくん連れて行くから。問題ないよね、私たちの暗黒騎士」

「は、はい」


 そう言って、魔王の娘は町長の息子を部屋から連れ出してしまった。


「それではライト様、また今度」


 先に町長の息子が部屋から出る。

 それから、魔王の娘が私に小声でこう囁いた。


「続きは、次に何か仕事をしたらさせてあげる」

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