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女聖騎士でしたが魔王の娘によって暗黒騎士にされてしまいました  作者: ヘラジカ
第三章:暗黒騎士の誕生

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15/55

3-4:魔王の娘に仕える暗黒騎士になりました

「はいはい、今日はここまで」


 唐突に、魔王の娘が部屋に入って来た。


 私と町長の息子は慌てて離れ、魔王の娘の方を向く。


「もっと欲しいなら、暗黒騎士として働きなさい」

「……はい」


 元より、そのつもりだ。

 命を助けてもらった恩義には報いたい。


 でも、先程の快感を得た後ではもう……。

 あれを手に入れるためならば、可能な限り何でもしたい。

 そう考えてしまう程に貪欲になってしまった。


「へへっ、よろしい。では、魔王の娘エイラムから、私たちの暗黒騎士へ武器を授けます」


 そう言って、魔王の娘は私に鞘に入った長剣を渡した。


「抜いて、確認してみて」


 私は魔王の娘に言われた通り、受け取った長剣を鞘から抜く。

 すると、黒く光る刀身が露わになった。


「黒曜石の剣だよ。すっごく強くて、地上にはまだ出回っていない品なんだから」

「よ、よろしいのですか!?」


 改まって希少品だと説明されると、私も貰う事に気が引けてしまう。


「か、勘違いしないでよね。暗黒騎士には、それだけ強力な敵と戦ってもらうってだけだから!」


 ──ああ、そういう事。


 それから、魔王の娘は私の耳に口を近づけ、ひそひそ声でこう言った。


「これは、アイスくんにはまだ内緒だけど、お父様のお許しが出たら『聖騎士団』や『エルフ』の連中をやっつけてもうらんだから、覚悟しておきなさい」


 私に復讐の機会を与えてくれるというのか!

 この町に私を左遷した聖騎士団、そしてそれを操るエルフたちを。


「(何て事を! そんな事、許されるはずが──)」

「(黙れ! 私はそいつらのせいで一度死んだのだ。許してなるものか!!)」


 もう一人の私が当然の如く反発しようとするが、それを私は無理やりねじ伏せた。


 ダンジョンへの魔王の関与を調べるために、私を捨て駒にしたのは聖騎士団だ。

 しかし、それを行う様に色々と指図をしたのはエルフたちのはず。

 ならば、奴らもまた許してはおけない。


「わかりました。その時が来れば必ず」


 こうして、私は剣と鎧を手に入れ、ようやく暗黒騎士らしい形になってきた。

 後は、それを使って働くのみ。


「エイラムさん、今日は騎士様も一緒でいいのか?」

「うん、三人で一緒に帰ろうか。あっ、でも暗黒騎士は鎧をちゃんと装備して。でないと、バレちゃうから」

「……わかりました」


 私は、再び鎧を着込み、そしてフルフェイスの兜を装備した。

 地上の町を歩く時、常に顔を隠さなければいけないのは、まあ面倒ではある。

 ──慣れるだろうか?


 そんな事を考えていると、不意に町長の息子が私に話しかけてきた。


「申し訳ないですが、部屋は移ってもらいます。表向き聖騎士ライト・ヌームは死んだ事になっていますので」

「かまいません。元々居候の身ですし」

「荷物は、折り合いを見て移動しましょう」


 ここでの私物なんて、本くらいしか元々なかったし、大丈夫だと思う。


「あのさあ、アイスくん。理由はそれだけじゃないよ。彼女はアイスくんの側室なんだから、それに見合った部屋にしてあげないと」

「そうだけど、側室用の部屋って?」

「うーん。私が認めた相手なんだから、ちゃんとした失礼のない部屋にして」

「それ、今までと変わらないと思うんだが」


 ──二人共、仲がいいなあ。


 私は町長の息子と恋仲であったわけではない。

 だけど、町長の息子と魔王の娘が仲良くしていると、もやもやした感情が湧き上がる。

 正直、嫉妬していないと言ったら嘘になると思う。


 だが、一度殺し合った結果でのことだ。

 受け入れるしかない。


「とにかく今日は、ライト様の復活祝い……いや、新たに暗黒騎士を迎える祝いだな」

「ばっちり、御馳走の用意もしてるからねッ!」

「はい……お屋敷での食事も久しぶりで……楽しみです」

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