09 説明と悶絶と
スキルの習得方法は2つあるそうだ。
ひとつは、この世界で生まれること。ふたつめは繰り返しの鍛練 とのことだ。
私にひとつめの方法は絶望的の為、ふたつめに期待するしかないが、何でも始めるのは若いときから繰り返すのが望ましく40を過ぎた私では効率が悪いと説明を受けた。
普通、説明が先じゃないですかね…どうせなら18歳くらいまで巻き戻して頂きたいものだ。
「あんたの体の負担と経験が無くなっちまうからねぇ。」
なんとも言えない顔を表に出してしまっていたのか婆さんが説明を続けた。
若返りの成分自体は猛毒であり、それに対する治癒を強引に引き出す薬効と鎮痛剤を混ぜることで完成するそうで、体内では破壊と再生が今も繰り返されてるらしい。その際の再生で若い体になるとのことだ。
また経験は肉体に宿る事が多いため戻しすぎると私の生きてきた技術なども当然戻るため0からのスタートとなり効率が悪いとのことだ。
…やっぱり毒じゃねえか!
一通り現状の説明を受けた私は、習得の説明を受ける。
「さて、本題だ。まずは現時点で何を持っているかを調べるよ。歯をくいしばって目を瞑りな。そして私の手を握りな。」
枯れ枝のような婆さんの手をとり目を瞑ると、突然の激痛が指の先から頭の方へと流れてくる。私はあまりの痛さに頭を抱え地面で転がり込む。
「さて、どうかねぇ。」
婆さんはまた研究者の目で私をの覗き込みながらうっすらと笑っていた。実験動物のように扱われているようで非常に不愉快だが今はそれどころではない。
「今あんたの中で門を開いたよ。通常、それに適合した体で生まれるもんだが、あんたは違うからね。作り替えられてる最中さ。」
なにやら言っているが聞く余裕など全くない。
体のなかに金属棒を無理やり突っ込まれているような鋭い痛みが激しさを増してくる。
私は痛みのあまり痙攣し海老反りになる。顔からは液体が流れっぱなしだ。
「ふむ。鎮痛はもう少し増やしても良かったかねぇ…」
婆さんは表情を変えずに覗き込んでいる。
私は端目で婆さんを見ながらも続く痛みの中で、本日2度目となる意識を失った。




