07 婆さんの笑顔と薬
私は木漏れ日の中で、草を抜いては摘むという単純作業を繰り返していた。根の部分が小指の爪ほどの球状になっており、風邪に効く薬の材料となるらしい。どう見ても玉葱だ…
あの日から2ヶ月。
あの日、私は婆さんに質問をした。
記号とやらでの移動にて私を戻せる人は知っているか?もしくは婆さんはできるか?
答えはノーとのこと。
ただし短距離ではあるが移動自体の方法は確立しているそうで、誰かしら方法を持っているのでは?
と言っていた。
私は、その持っているであろう人を探しだすため
泊まり込みにて婆さんの家にて一般常識を習った。まずはお互いの名前の交換。婆さんの名前はただのマリーといい。上流階級でもないかぎりは姓を持つことは無いそうだ。
他に、貨幣、国、季節に一般的な生活スタイルに至るまで思いつくものを食事のときに話してもらう。
中でも気になるのが技術ではなく、能力で社会が構成されているということ。一般的にはスキルと呼ばれていて、婆さんは「薬師」の能力を持っているそうだ。
薬になる材料および掛け合わせ方を網羅しており、結果を求めれば工程が勝手に分かるらしい。
そして能力は先天的なものが全体を占めているが、素質があれば後天的にも身に付くことは稀にあるらしい。
私はこれらの情報の代償として、労働力を提供している、草摘み、食事の世話、掃除などだ。
中でも草摘みは今後の路銀稼ぎにもなり得る知識として私は必死に学んでいる。
要求される草に毒草も含まれるのはどうかと思うが、きっと下剤でも作るのだろう…うん。
私は摘んだ草を家の近くに流れる川にて洗い、布に包む。毒草は別の布に包み洗わずに持って帰る。
一度、毒草を洗ってしまったときに下流の魚が浮いてきたのは衝撃的だった…。
「マリー婆さん、今日の分です。」
私はテーブルの上に包みを置いて扉に話しかける。扉が開き一粒の丸薬を持ちながら出てきた。
「さて、そろそろだね。」
ニヤリと笑うマリー婆さんの顔は何か企んでいるに違いない。
うん。嫌な予感しかしない…




