05 お茶と現実と私
「さて話を聞こうか。あんたはどこの誰で何をしていたんだい。」
えぐ味と苦み、そして濃縮した椎茸のような匂いの液体を一口すすり嗚咽を何とか堪えた私に老婆はゆっくりと聞いてきた。
私はこれ以上、誤解が生まれないように
あるがままに話をした。
車で煙草をふかしながら寝たこと。
気づいたら裸でここにいたこと。
そこから彷徨、老婆に会ったこと。
そして…私は認めたくはないが、これは現実だとここまでの体験から導いていた。
味覚、聴覚、痛覚などの感覚、感情。
夢であるわけがない…と
話をひとしきり聞いた老婆はタメ息と共に首を横に振る。
「何を言ってるかさっぱりだよ。」
そもそも社用車、エアコン、私の仕事内容と、
意味だけでなく言葉すら意味が分からないとのことだ。
分かるのは煙草、そして私の体験した場所が変わっていることだと…
逆に私には衝撃だが…そこが理解されるとは…
「まず、あんたみたいなことは希にあるし、意思を持って実行することもできる。」
老婆によると特定の記号と儀式を用いることで、
私のように離れた場所から移動、もしくは移動させることが可能とのことだ。
私は怖く、ここまで聞けなかった質問をする。
「ここは何処ですか?」
老婆はタメ息をつきながら答えてくれた。
「オニキス公国所属 バッカラの森さ。」
私は気が遠くなるのを感じた…




