15 食事と決意
夕日に照される町並みは、小屋周辺とは違った景色で、人々が家路に帰る姿、明かりがつく店など文明を感じ、まるで小さいときに見た風景のようで、私はどこか懐かしさを感じた。
これから森まで帰るには遅すぎるため、私達は一泊していくこととした。
宿屋 森のみち亭
門に近いその宿は2階建ての木造作りの様相で、
横長な外観をした建物だ。複数の樹を使い色の暗明を出すことで、引き締まった印象がある。また、ロビーには様々な木造の飾りが飾ってあった。場所柄、木材が豊かということもあるのだろう。床なども痛んだり、古めかしい板材などはなく、無垢材の樹の香りが漂い、とても落ち着く。
受付をすると銀貨10枚を婆さんが払い部屋に通される。
ベッドと小さなテーブル・クローゼットだけのシンプルな作りだ。壁際には大きめな窓がついており、開け放てば森からの涼しい風が吹くだろう。
とても良い宿だと思う。値段も1人銀貨5枚だ。
私は何故か2つあるベッドを眺めながら、ワナワナと震える。
「なんで同室なんですか!」
私は耐えられず婆さんに文句を言う。宿の人の気配が無いことは確認済みだ。
婆さんは私の抗議に、チラッと目配せをするだけで答えず自身の少ない荷物をベッドに置いていた。
「飯にいくよ。」
溜め息をつきながら扉を出ていく。
ツインの部屋は気に入らないが、確かに腹は減っているし、まともな飯は久しぶりだ。
私は黙って追いていくことにした。
ロビー奥の宿泊者用のテーブルに座ると程なくパンが運ばれてくる。私の知っているパンではなく、黒く硬く大きなパンだ。粒が大きくパサパサとしている。付け合わせはシチュー。これも野菜などは、たっぷり入りボリュームは満点だが、何より旨味が全くない。ホットミルクに野菜を浸して食べているようだ…
不味すぎる…
「マリーさん。これは宿が安いからですか?」
シチューにパンを浸しながら静かに食べていた婆さんは口を拭いながら呟く。
「一般的な食事さ。貴族でも食材は別として、味という意味じゃ対して変わらないね。」
絶望。あえてもう一度 絶望でしかない。
唯一の楽しみがこれか…
稼ぎのあてをつけて、ようやく外食の目処がたったのに…
食事の質。これだけは上昇せねばならないだろう。




