12 狩りと食事
翌朝早々に私は湖に出かける。
道中、傷に効く草や腹痛に効く草、滋養強壮に効く草の根や栄養価の高い実を回収し袋へ詰めていく。
湖に出ると朝もやの中、鳥達がお互いに挨拶をするかのように時々甲高い声を発していた。
暫く、草影に姿を隠し比較的岸際にまで鳥が寄ってくるのを待つ。
一羽、群れより離れた個体が岸際に寄ってくるのを見ると狙いを定め鳥の体内構造を思い出す。
何十年前に学校で習った授業が役に立つとは。
とはいえ、うろ覚えなのは否めないが…
狙うは首を通る神経、及び体表の羽毛だ。
視覚情報もイメージの補助として使い意思をのせる。
着火!
とたんに首筋をビクンと伸ばし羽から煙がうっすらと上がると鳥は湖に力無く浮き上がった。
私は駆け寄りローブを脱ぎ捨て鳥を回収する。
膝まで浸かった水は冷たく針のように刺してくるが、今の私には気にならなかった。
鳥はまだ息があるようで細いながらも低い声で鳴いている。
「すまん!」
私は一思いに鳥の首を捻折る。それを最後に事切れた鳥を私は水辺に上げて観察する。
先ずは羽毛。イメージが足りなかったか羽周辺の一部のみが縮れている。恐らく着火はしたが燃焼力は私のスキルの範囲外の為、水により鎮火してしまったのだろう。
最後に[解体]のスキルを実施する。
鳥の解体は散々仕事として習い、実施してきたのでイメージしやすい。
解体!
意思をのせると目の前でバラバラになる鳥。
解体自体は出来ているが肉、骨、内臓、羽と一ヶ所で血と砂が混じってしまっている。
その場でイメージ通り、部位ごとに別れて解体されておりちょっとした猟奇殺人現場のようになっている…
私は腿肉と胸、手羽のみ回収することにして
首の断面を凝視する。
首の断面は一部のみ白く変色し周囲の肉が赤ではなく、うっすらとピンク色になっていた。
色を見るに熱が加わったことは確かだ。
羽毛と同じように燃えるようなことはなかったが
ピンポイントで神経が発火、周囲の血と肉で消火の流れだったのだろう。
ただし羽毛と違い首への神経へ熱ダメージだ。
重篤な結果となった ということか。
私は肉を湖で軽く洗い、残渣を埋めて家路に戻る。
小屋に戻り、婆さんに途中採取した草や実を渡す。
「どうです?売れますか?」
テーブルに種類ごとに並べてお伺いを立てる。
「ふむ。私は買取は専門外だから分かんないが、銀貨4枚位にはなるんじゃないかい?」
この世界の通貨は三種類。金貨、銀貨、銅貨だ。
銅貨=100円 銀貨=1000円 金貨=10万円
位の価値のようだ。
それにしても、数分採取して銀貨4枚は凄いのでは?時給換算いくらだろう…
私は結果に満足し、鍋で煮た鳥のスープを婆さんに差し出す。
「食事にしましょう。」
単純な塩味の水煮だが、この小屋での食事は草や木の実と時々、私が釣った魚がメインだったので肉は久しぶりで驚くほど旨かった。
臭みはあるが、ホロホロと崩れる肉に、シンプルだが骨と肉から出た出汁が効いていて白湯スープのようになっている。
後は道具を揃えねば…
私は旅立ちの準備がゆっくりだが確実に出来ていることを実感した。




