ひまわりの前で〜僕は自由で、魔法が使える。〜
僕は長い長い入院中だ。
感染する病気でもう半年、みんなから隔離されてるよ。
病棟の塀のそばにひまわりが咲いて、僕はその前でリコーダーを吹いた。
エーデルワイス
カッコウ
アマリリス
僕の病気はうつるけど、ひまわりにはうつらない。
だから僕はリコーダーを吹いた。
ひまわりに見下ろされながら。
メヌエット
オーラリー
聖者の行進
僕が笛を吹くと、草もバッタも踊りだす。
僕の笛は魔法のステッキだよ。
きれいなドレスを着た赤毛のシンガーが、突き抜けるような高音で歌う。
ダカダカとドラムの音が鳴って、陽気な太鼓腹のおじさんが、トランペットを吹き鳴らす。
僕は自由で、魔法が使える。
だけど、リコーダーを吹くのも楽じゃないんだ。
僕は肺の病気だから。
エーデルワイス
カッコウ
アマリリス
それでも僕は、魔法を使う。
ひまわりが笑ってくれるから。
お読みいただきありがとうございました!
こちらは、『第4回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』に参加するべく書いた短編です。
小説というか詩かもしれません。詩でもいいのかな?
選んだテーマは『ひまわり』です。
イベント参加は初めてなので、なにか不備があれば教えていただけると幸いです(;´∀`)