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検品され廃棄へ

「やっと、新大陸にとうちゃーく」


 強敵、絡まった海藻を引きずりながら、やっと陸に上がれたー。日は、ちょっと落ちてるけど、海を渡るのにそこまで時間はかかって無かったみたい。もしかして、私って凄いんじゃない? 海底歩いて隣の大陸、なのか島なのかよく解らないけど、移動できちゃうんだから。後は、海沿いにでも歩いてたら、港町にでも着くんじゃないかなー。


「おい、そこの怪しい奴。何者だ」


 歩き出そうとしたんだけど、後ろから話しかけられた。振り返ると、高価そうな衣装と、マントで着飾った金髪の典型的なイケメンって感じの男の人が居た。角とか生えてるし、マントでよく見えないけど、蝙蝠みたいな翼も見える。ファンタジーとかで有名なヴァンパイアという事なのかな? そう言えば、こんな感じの人に会った事があるような気もするんだよね。レアルさんしか知らない筈なのになー。


「えっと、ヴァンパイアみたいな人に怪しいって言われたくないんですけど……。私の方が怪しいかも知れない」


「ヴァンパイア? いや、何でも良いけど、自覚あるなら何とかしろよ」


「それは、そうだね」


 白衣と海藻の組み合わせはやっぱり怪しいみたい。うん、私もそう思う。町に入ってさっそく御用されるのは流石に嫌だし、戦果の絡まった海藻くらいは外しておこう。あ、何か驚いたような顔してる。うーん? なんか凄く嫌な予感がする


「お前、レアル・グリードか!?」


「違う違う! 私はレアルさんじゃないよ!?」


 私の姿って、レアルさんそのものというか、身体をそのまま使ってるから、見分けつかないよね。というか、この人レアルさんの知り合いだったんだね。ものすごーく、なんか嫌ってるのかな? 仲良しには見えない。誤解を解かないとヤバいかも!


「その姿は、レアルだろ? 今回は一体何を企んでるんだ」


 あ、この人腰から下げてた剣を持った! しかも両手に、二刀流って事なの!? いやいや、そんな事考えてる場合じゃないよ! なんかこの人凄く強そう! 私の持ってるのなんて、この拳銃くらいしかないけど、あっ!? びしょ濡れじゃん! これ使える!? いや、そもそも私じゃ当てられないよ! 何とか私がレアルさんじゃないって証明しないと!


「ほら! 腕時計付けてないよ!? 私はレアルさんじゃないんだよ!」


 慌てて思いついた事を言ってみたけど、そんな事で納得してくれるかな!? もう逃げた方が良いんじゃないかな! って思ったけど、足が動かない? 視界が下に落ちていく。……一瞬で、私の四肢を切り飛ばしたみたい。もう逃げられない。こんな所で、終わりなの?


「……お前、本当にレアルじゃないのか?」


「そうだよ!? ほら、あなたが切り落とした腕よく見て!? 腕時計付けてないでしょ! いや、腕時計で判別できるものなの!?」


「演技……。には見えない。だが、レアルの事だ。そう簡単に信用できない」


 レアルさん一体何したの!? こんなヤバい感じの人にそんな疑われるようなことしたの!? 何とか、何とか誤解を解かないと! ええっと、腕時計の他には何か言ってたかな。この状況を乗り切れそうなこと!


「あの!、私って、レアルさんの従者らしいんです!」


 あっ! これ、レアルさんとは別人ですよー主張しようと思って言ったんだけど。もしかしたら、レアルさんの従者なら、お前も敵だみたいな展開になる……? どうしよう、どうしよう! 間違えたかもしれない! 前の選択肢まで戻らせて!


「レアルの従者……? やっと成功したとでも言うのか……? いや、まだ完全に信用した訳じゃない、だけど、本当に従者になったんだとしたら、不憫だ」


「不憫!? 不憫ってどういう事!? というか、私の身体バラバラにした人に言われたくないよ!」


 こう、なんていうか。小馬鹿にしたような感じじゃなくて、完全に憐れんでる感じで言われても! あなたは私の身体をバラバラにしたんだよ!? 解ってる!? この身体が機械じゃ無かったら、そのままお陀仏になってたんだからね!


「……。お前は、いつ意識を自覚したんだ?」


「私? 目が覚めたのは数時間前だけど」


「そうか……。悪かったな。」


 何だろう、なんとも言えないような表情になってる。あ、剣をしまった、警戒を解いてくれたのかな? ついでに、この状態を何とかしてくれると助かるんだけどね。自己修復機能で何とか直って、くれる感じも無いなぁ。切断面をくっつけたら直る? まぁ、私動けなくてそれも出来ないんだけど。


「ねぇ、断面くっつけてみてくれない? レアルさんが自己修復機能があるって言ってたから、もしかしたら直るかもしれない」


「まぁ、良いけど。自分の身体の事さえアバウトだな……」


 何か、呆れてる気がするけど、気にしたらいけないと思うの。腕の断面をくっつけてもらったら、何かカチカチって音がして、腕がくっついた! なにこれ! 凄い!


「ホントにくっついた!」


「いやさ、もう少し自分自身について理解しようとは思わないのか?」


「そう言われても、何となく意識しにくいんだよ」


 自分の事って意外と意識しにくいものだと思うんだよね。私は別に気にしたことは無いしねー。そういものじゃない? やっと、両腕両足が繋がって立つことが出来たよー。


「まぁいいか。俺は邪悪の従者、悪魔のギレーアだ」


「私はオリジンスフィア、よろしくねー」 

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