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披造の現実

「それじゃ、アンタの持ってる権限の確認を、する前に基本スペックを確認しよう……と思ったんだけど、その格好はどうにかしないとね」


 レアルさんは自分の着ていた白衣を脱いで、私に渡してきたんだけど。そう言えばそうなんだよ、何も着てないんだよ! いや、だからって白衣だけっていうのもどうなの? 他に何かなかったの!? いや、着るけど。


「えーと、あのー。せめてズボンとか」


「用意してない。機械がそんな気にすることある?」


「あ、はい」


 用意してないらしい。うん、そうだね、機械だもんね、別に服とか考えないよね。だけど一着くらいは欲しかったなぁー! 私の格好も、格好だけど。白衣を着てたから気づかなかったけど、レアルさんって、腕に沢山腕時計を付けてる。というか、脚にまで沢山腕時計付けてる。どういうファッション?


「さー、ついてきなー。アンタの基本スペック確認するよ」


「スペック確認って、何をするんですか?」


「来れば解るよ」


 今ここで話してくれるつもりは無いらしい。なんか案内してくれるみたいなので、ついて行ってるんだけど、この研究所? 結構広い。部屋から出ると廊下で、ドアがいくつもあるし、なんか迷路みたいになってるみたいで、目的の部屋にたどり着くまでに階段降りたり、部屋を通ったりで、元の場所に戻る道を覚えてる自信がないよ。


「えーと、何をすれば良いのか、何となくは解るんだけど」


 レアルさんに案内されてたどり着いた部屋は、的とかが置かれてる、見るからに射撃訓練所みたいな所だった。そして、手渡される拳銃。いや、本当に何をするのか解るんだけど、解るんだけどね! こういうのってすぐに出来るものじゃないでしょ!? 何か的が遠いし、当てられる気がしない。


「弾は6発、反動は標準的なハンドガン、アンタの身体なら無いも同然。送風機は停止してあるから、単純な算数だよ。2発目あたりで当てられるでしょ?」


 なんか、物凄く気楽に言ってくれるけど、算数? 何のことだか全くわからない。とりあえず、一番近い的に拳銃を向けてみるけど、正直当てられる気がしない。もしかして、私にはこういう系で特別な能力とかあったり? ほら、自動的に当てたい所にあたるとかね! このままいても何にも進まなそうだし、やってみよう!


「よし! 当たれー!」


 ……うん。一発も当たらなかったよ。まさに的外れってこういう事言うんだねなんて頭に浮かぶくらいかすりもしなかった。もしかしたら、そこら辺の一般人の方が狙えるんじゃないかなーって思えるくらいに外したよ。レアルさんがもう、釈然としないような表情してるけど、いきなり出来る訳無いでしょ!


「アンタ、ふざけてるの? 曲がりなりにもアタイの身体なんだから、そこら辺のコンピューターに劣らない演算能力がある筈なんだけど? こんな簡単な計算も出来ない訳? ハードがどれだけ良くても、ソフト面はポンコツですって言いたいの?」


「えぇ……。えんざんとか言われてもよく解らないし、何か凄く色々言われても。それに、私って生まれたばかりみたいなものなんだよね!? 急には出来ないよ!」


 いや、その、レアルさん、怖い顔しないでよ……。別に私はふざけてる訳でも無いし、変な事を言っても無いと思うんだけど……。え、私が間違ってるの? でも出来ないものをどうにかしようと思っても、すぐには出来ないよ。


「はぁ、まあいいや。それじゃ、本題。アンタの権限は何? 両方教えるのが嫌なら片方だけでも良いんだけどさ。一応従者の事は把握しておきたいからね」


「え、権限って何?」


 何かの権利とか、そういうもの? でも、権限は何って聞かれても何が何だかわからない。レアルさんはがっくりしてため息をついてるんだけど、私がおかしいの? でも、私が持ってるものなんて、弾の入ってない拳銃と、白衣だけだし、それ以外の何かなんて、何も無いんだよ?


「世界に対して力を行使する権限だよ。従者も持ってるんだろ? そうじゃないと、管理者の従者なんて意味わからない事になるしな。アタイの影響を受けてるだろうから、変化させるような力だろ?」


「世界に対して力を行使する権限、ですか?」


「簡単に言うと、本来の法則に外れた力だよ! アタイの法則を書き換える権限みたいな、本来起こりえない事を起こす権限の事! ホントに、アンタ大丈夫? どっかぶつけて回路がショートでもしてるんじゃないの? いや、そんなに脆くも無いし、ある程度なら自己修復機能もあるし、壊れてるなんてことは無い筈なんだけど」


 つまり、超能力とか、魔法とかの、特殊能力的なのってこと? それが私にもあるのかな!? でも、それを確認する方法が解らないよ。ステータス表示! とでも言えば良いの? それとも、視界の端に何か映ってる、なんてことは無いしなぁ。というか、何か寧ろ心配されてるよ……。自己修復機能とか、初めて知ったし。


「えっと、権限ってどうやって確認するんですか?」


「あー、もう……。目を閉じてみて、人それぞれ受け取り方は違うけど、基本的には、言葉とか、パズルとか、そういうものが浮かんでくるらしいよ」


 言われた通りに目を閉じてみた。真っ暗だ。そういえば、私の身体って本当に人に近いように作られてるんだ。いや、そうじゃなくて、真っ暗なんだよ。目を閉じてるから当たり前なんだけど、真っ暗で何も見えないよ?


「えーと、真っ暗です」


「……。もしかしたら、そうか、個足り得ないって事か? 確かに、肉体は要素の一つだし、二元的にアタイは物質的かつ、物質的な存在。中身だけでは、認識されないなら、次の方向性は決まった」


 レアルさんがブツブツ何か言ってるけど、何が何だかわからない。もう考えに耽ってるみたいで微動だにしてない。私、どうしたら良いんだろう? 今の所何も出来てないんだけど、物凄く、嫌な予感がするんだよ。


「あのー、私はどうしたら良いですか?」


「あー、アンタなんだけどさ。多分失敗作だわ」

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