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短い短編(童話・ヒューマンドラマ・現実恋愛など)

じしゃくみたい

 ……じしゃくみたい。


 わたしは、一人でいた。


 だってはなすひとがいない。


 みんなまるくなっていて、入れない。


 わたしはこくばんのところに行った。


 こくばんに、じしゃくがついている。


 わたしはそれをはがして、そしてこくばんに向かってなげてみた。


 ついた。


 もうすこしはなれたところからなげてみた。


 ついた。


「ねえ? なにやってるの?」


 一人の女の子が、わたしにそういった。


「じしゃくなげ」


 わたしはかってになまえをつけて、こたえた。


「わたしもなげる」


 その女の子はいった。


 そしてこくばんからじしゃくをはなして、わたしと同じところから、なげた。


 ついた。


「……いまからトランプするけど、一緒にやらない?」


 まんぞくそうにじしゃくをながめたあと、そう女の子はわたしにいった。


「う、うん。やりたいよ」


 わたしはこたえた。


 そしてこくばんをはなれて、女の子といっしょに、きょしうしつのまん中のほうにいった。


 こくばんにはじしゃくがひとつ、のこされた。


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