#12
「ん……あれ? 俺は……」
「よう、やっと起きたかよ」
「え? 那須? あれ? 俺は何を……」
俺は八重を担いで近くの公園まで来ていた。
八重をベンチに寝かせ、俺は八重が目を覚ますのを待っていた。
「お前さぁ……もう少し鍛えろよ、カッコ悪すぎ」
「な、なにを!?」
「ワンパンって……」
「う、うっせぇな! そ、そういえばあいつらは?」
「あぁ、多分まだ寝てる」
「え? って事はお前が?」
「だから、一人で十分だって言ったろ?」
そうは言ったが、実際は結構ギリギリだった。
八重が時間を稼いでくれなかったら、結構やばかったかもしれない。
そんな事を考えていると、八重が俺に言ってきた。
「なぁ……なんで喧嘩するんだよ」
「売られるからだよ、俺から喧嘩なんて吹っ掛けてねぇ」
「でも、そんな喧嘩ばっかりしてたら、怖がられるまんまだぞ?」
「良いんだよ、俺は一人で……もう裏切られるのなんてこりごりだ」
「……俺は裏切らないぞ」
「は?」
八重は真っすぐ俺の顔を見て、真剣な表情で俺にそう言った。
そんな八重の言葉を聞いて、俺はどこか心のそこで八重を信じたいと思っていた。
でも、俺は八重のその言葉をまだ信じることは出来なかった。
「……お前はもしかしたら、そうかもしれないな……」
身を挺して俺を守ろうとしてくれた。
結果がどうであれ、俺は八重のそんな行動がうれしかった。
だから、こいつはあいつらとは違うのかもしれないとも思った。
しかし、俺は完全に八重を信じることが出来なかった。
俺は八重に背を向け、その場を後にしようとする。
「あ、おい! 行くのか?」
「あぁ、疲れた。じゃあな」
「おう! また明日学校でな!!」
そういう八重に俺を振り返らずに手を挙げる。
*
「なぁ、那須! 宿題見せてくれ」
「あぁ? なんでだ」
「忘れた!」
「自分でやれアホ」
「わかんねーんだよ! 頼む!!」
あの日以来、八重は前以上に俺に話をかけてくるようになった。
大変はどうでも良いことばっかりだったが……。
「那須、お前は巨乳と貧乳どっちが好みだ?」
「いきなりなんだよ! ある方が良いに決まってんだろ」
「なんだと!! あんな物ただの脂肪の塊だぞ! 騙されるな!」
「なんで質問したんだよ! それと余計なお世話だ!」
そんな事が続く中、八島以外のクラスメイトも俺に話かけるようになってきていた。
「ね、ねぇ……那須君……」
「あん? なんだ?」
「きょ、巨乳派って本当!?」
「初対面で何を聞いて来てんだよ」
「僕もおっぱい大好きなんだ!」
「いや、どんな自己紹介だよ! 薬でもやってそうな会話だな!」
まぁ、大体はこんな感じの馬鹿な内容だったが、段々クラスメイト達からの誤解は解けて言った。




