女性店員編 3話 二度目の再会
初めて彼と会ってから4日目、今日はお店に来てくれるのだろうか?
ただの通りすがりの一見客だったとしたら、もうニ度と来ないのは百も承知だけど、ちょっとは期待してしまう自分がいる。
夕方、お客さんが減ってくるとレジ係は交代制で20分の休憩に入る。
混雑時は4時間以上レジから離れられないことも日常茶飯事、立ちっぱなしで足はパンパン、トイレは我慢、食事時間も不規則。
そんな疲れを癒せる小休憩は正直うれしい。
「M島さん、そろそろ休憩時間だけど、先に入る?」
と、60代の先輩女性社員に声をかけられたが
「あ、ありがとうございます。でも私、あとでいいので、お先にどうぞ」
と、先輩に譲った
本当は休憩に入りたかったのだが、今の時刻は夕方の5時15分、5時30分には売り場に留まりたかったからである。
「じゃ、先に休憩に入るね、よろしく!」
ニコっと笑顔で
「はい、ごゆっくり」
だけど何故、夕方の5時30分に拘っているのか自分でも疑問に感じる。
他の時間に買い物に来るかも知れないのに、私がバックヤードに居るときとか。
それに彼がお店に来てくれたとしても、私の視界に入らずにそそくさと買い物を済ませて帰ったら気付かないだろうし。
そんなことを考えながら、合間に店内の様子を横目でチラっと確認しつつレジ作業を淡々とこなしていた。
男性客の後ろ姿や足元が視界に入ると気になって仕事に集中できなくなるのは言うまでもない。
違算が発生してしまったりしたらレジ清算後に大目玉を食らってしまう。
いけない、いけない。
店内に設置してある時計の針は5時30分を指していた。
私のポジションは7つある内の4番レジ、丁度ど真ん中の位置である。
売り場とレジの境目の通路にチラっと視線を送ると、サラサラした黒い髪をなびかせながら歩いている男性が見えた。
彼の全体像が3センチほどの大きさにしか認識できない距離だったが、手元にお弁当とペットボトルがあったので、彼だと確信した。
私のレジに来てくれるの?
お願い、来て!
と、心の中で念じていた。
レジの作業中なのでカゴの中の商品、斜め下に視線を向けつつ、ボンヤリではあるが彼の姿と居場所はしっかりと認識できている。
彼は一瞬立ち止まり、私の方向に顔を向けているのが見えたが、気のせいかな?
彼は私の近くまで来ることなく、2つ隣の2番のレジに入っていった。
2つ隣のレジ内に立っている彼の姿をチラチラと見ながら、2番レジの同僚に嫉妬している自分が情けない。
彼は、初めて会った日と同じように、スピーディーに袋詰めをし出口から姿を消した。
やっぱり私なんて、ただのスーパーの店員、なんの興味も持たれてなかったんだよね
当然、当然。
だけど彼の姿を見れただけでもラッキーで幸せな気持ちになれた。
2度目の来店を確認できたわけで、またきっと会えるという希望が見えたわけだし。
つづく。




