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34話 終末への前奏曲
「ただいま!」
喫茶店『シャーロック』の扉を開く。
カウンターには、1人の男が立っていた。
「……いらっしゃい。
何にする?」
「オレはいつものを」
「妾ははにーらってじゃ。
特別な!」
「私は・・・そうだな、紅茶をいただこう」
「俺は・・・いや、自分で作ろうかな」
「じゃあ、私も紅茶を自分で淹れるわ」
静かな時間。
暖かな空間に、暖かな時間が流れる。
やがて全員分の飲み物が揃って、みんなが1つの席を囲んだ。
飲み物を持って、声を揃える。
「いただきます!」
皆、思い思いに飲み物を飲む。
そして、顔を上げると、笑っている喫茶店の店主の姿があった。
「おかえり。
皆が無事で、何よりだ」
そう言って店主は一際豪快に笑った。
つられて、皆が笑った。
人間も、セリアンスロープも、ヴァンパイアも、ハイエルフも。
全員が、笑っていた。
4人の伝説の戦士が、いまここに揃った。
それは、最後の戦いが、目の前に迫っていることでもあった。
今、戦士たちに、僅かな休息を。




